こんにちは!都立自校作成校受験対策専門塾・誠学会の諏訪孝明です。
この記事では、2024年2月に行われた都立国際高校の自校作成問題の英語・大問5説明文の問題を解説します。
都立自校作成校受験生のうち、
・国際高校の英語長文のレベルを知りたい
・国際高校を志望しているが、説明文読解の対策に苦労している
・国際高校を受験する予定はないが、レベルの高い問題で万全な対策をしたい
といった方におススメです。
一度自力で解いてみてから以下の解説を読むことを強くお勧めします。
2024年度の都立国際高校の過去問解説のその他の大問は以下からご覧ください。
では解説を始めていきます。
目次
本文
第1段落
against
「抵抗」「対抗」といったイメージを持つ前置詞です。
前置詞は様々な意味・用法・訳がありますのでまずはそれぞれのイメージを覚えましょう。
because
因果関係をつくる接続詞です。
「結果 because 原因」となります。
関係代名詞whichの省略
the crops (which) we grow 私達が育てている作物
目的格の関係代名詞which(which節の目的語がないもの)は省略が可能です。
これが成立する条件は以下のとおりです。
①名詞が2つ並ぶ
②2つめの名詞が動詞の主語である
③動詞の後ろにOが不足している
これを逐一確認することを習慣にすると、あるときにwhichの省略を感覚的に処理することができるようになります。
Though SV, S’V’
「SVだけれども、S’V’である」という意味です。
逆接は対比構造をつくります。
読解の際は特にそこに気をつけましょう。
thanks to A
「~のおかげで」という意味の熟語です。
因果関係をつくります。
英作文でもとても重宝する表現です。
S lead to A
Sが原因、Aが結果の因果関係を作ります。
読解の際に意識して活用しましょう。
make O C
make farmers sick 農家たちを病気にする
makeの第5文型の用法です。
「S make O C」で「SによってOがCにある」と訳すと自然になることが大半です。
like
insects like bees ハチなどの虫
likeは品詞によって意味が異なります。
①動詞:好き
②前置詞:~のような
②の用法の場合、「such as」のように直後に具体例がくることが多いです。
run off
逃げる、流出する、溶け出すといった意味のある熟語です。
今回は、熟語の知識というより文脈で意味を特定できる感じなのでこの熟語を覚える必要はないと思います。
on the other hand
「一方で」といった意味になり、対比構造をつくります。
ここでは、害虫に対応する方法として「農薬」と「植物自身の対応策」が対比されています。
問いかけ
説明文における問いかけ(疑問文)には「テーマの提示」という役割があります。
文章が何について書かれているのかがわかりますので、これを意識できるとその先の文章を読むスピードを上げることができます。
第2段落
start Ving
「Vし始める」という意味です。
「start to V」も同様です。
不定詞の副詞的用法
produce chemicals to keep the pest away 害虫を遠ざけるために化学物質を生成する
不定詞の副詞的用法は原則として「目的」を表します。
「~するために」と訳します。
release A into B
「AをBへ放つ」という意味です。
こうした、動詞と前置詞の組み合わせで意味を特定できるカタマリを「句動詞」といいます。
これを意識し、長文読解演習の際に目についたものの意味を調べて覚えていくと読解のスピードが格段に速くなります。
as(前置詞)
work as a warning sign 警告としてはたらく
前置詞のasは「~として」と訳すことが多いです。
stop O from Ving
「OがVするのを妨げる/やめさせる」という意味の句動詞です。
be going on
「進行中である」「継続中である」といった意味の熟語です。
第3段落
by+行為者
communication by plants 植物によるコミュニケーション
受け身の文の際、前置詞「by」は「~によって」と訳します。
このときの「by」の用法が受け身以外でも用いられる場合があります。
by Ving
by studying some trees 木を研究することによって
ここでのbyは手段を表しています。
現在完了形
Scientists have discovered … since … …以来、科学者たちは…を発見し続けてきた
現在完了形には①完了②経験③継続の3つの用法があります。
どの用法で使われているのかを意識することを習慣にすると、現在完了形への理解度が高まります。
直前期やテスト本番はそんな時間はないかもしれませんが、練習では意識してみましょう。
今回は「since」(起点を表す表現)があるので③継続の用法で使われています。
第4段落
such as 名詞
living things such as insects 虫などの生き物
「such as」の直後には具体例がきます。
,so
「原因+so+結果」の形で因果関係をつくります。因果関係は設問に関わってきやすいので、文章を読む際には注意してください。
even
even when the insects are far from them 虫がそれらから遠いところにいるときでさえ
evenは何かを強調するときに使う表現です。
今回は、悪条件下であっても可能であることが強調されています。
like Ving
「Vすることが好き」という意味の熟語です。
英作文で活用しましょう。
第5段落
分詞
the plant attacked by pests 害虫に攻撃された植物
分詞は名詞を説明する役割(形容詞と同じ役割)をします。
名詞の直後にあるVingやVpp(過去分詞)には要注意です。
always
「いつも必ず」という意味です。
「必ず」と言い切るのは、筆者によほどの自信がなければできません。
筆者が自信をもって断言できる内容は文章において重要な役割を果たすことがあります。
第6段落
対義語によってつくられる対比構造
「above the ground」⇔「under the ground」 (地上で⇔地下で)
対比構造は設問を解く際にカギとなるように設計されていることが多いです。
今回も、この対比構造への注目が問4を解く際のカギとなります。
send A to B
「AをBへ送る」という意味の句動詞です。
第4文型
give fungi other kinds of nutrients (菌類に他の種類の栄養素を与える)
第4文型は、
・Vの意味は「与える」
・O1≠O2
・O1に「与える相手」、O2に「与えるモノ・内容」
です。
S allow 人 to V
「Sは人にVすることを許可する」という意味の構文です。
頻出ですので、必ず覚えておきましょう。
第7段落
文末のeither
「~もまた…ではない」という意味です。
否定文で用いる「too」であると考えておくとよいです。
instead
「その代り」という意味で、対比構造をつくります。
先ほども説明した通り、対比構造は設問に活用することが多いです。
今回の対比構造も問5で活用します。
第8段落
a large number of A
「たくさんのA」という意味の熟語です。
S affect O
「SがOに影響を与える」という意味の動詞です。
因果関係を構成することができます。
not only A but also B
「AだけでなくBも」という意味で、ほとんどの場合Bの重要性を読者に伝えるために使われます。
both A and B
「AもBも両方とも」という意味です。
第9段落
the ability to V
「Vすることができる能力」という意味です。
英作文で、テーマによっては非常に重宝する表現となっておりますので覚えておきましょう。
不定詞の形容詞的用法
the wisdom to connect with others 他者とつながるという知恵
不定詞の形容詞的用法とは、「名詞+to V」のかたちで「to V」が直前の名詞を説明しているものを指します。
「something to drink」がもっとも有名な例です。
Now is the time for 人 to V
「今こそ、人がVするチャンスである」という意味です。
筆者が私たちに特に伝えたい内容を述べるときに使います。
設問
問1
指示語thisの具体化をする⇒植物が、(人間とは違って)環境を破壊せずに害虫対策をしていること
このことから、植物の害虫対策の内容について問われていることがわかります。
ア:農薬と同じくらい安全⇒×(「on the other hand」でつくられている対比構造が意識できていない)
イ:安全であることを知らなかった⇒×(存在自体を知らなかった)
ウ:害虫と戦う機会が減った⇒×(そのような記載はない)
エ:◯
問2
「植物による情報伝達」の内容に関する問題です。
傍線部と同じ第3段落に具体的な内容が記されているので、それを踏まえて答えます。
ア:◯
イ:◯
ウ:山火事を感じた植物が発芽しはじめる」⇒×(発芽しはじめるのは他の植物です)
エ:◯
問3
科学者たちが行った実験についての問題です。
傍線部のある第5段落の内容を読み取ればOKです。
ア:「実験を繰り返すうちにほしい結果を得られた」⇒×(ずっと同じ結果)
イ:「アクティブな方法で化学物質を生成する」⇒×(アクティブだと描写されているのは他の生き物との情報伝達における姿勢です)
ウ:◯
エ:「130種類以上のボディーガード」⇒×(130実験の回数)
問4
「above the ground」⇔「under the ground」 (地上で⇔地下で)
の対比構造に注目することで、第6段落にて述べられている、fungiについての内容に関する問題であることがわかります。
ア:「fungiどうしでメッセージを送り合う」⇒×(そういった描写はない)
イ:◯
ウ:「80~90%の情報を」⇒×(「80~90%の植物が…」です)
エ:「植物は栄養をつくりだすことができない」⇒×(それはfungiの特徴です)
問5
insteadがつくる対比構造に注目し、
・「すべての栄養を独り占めする」の反対の内容⇒他の植物へ栄養を送る
・植物どうし助け合う
・地下のネットワークを駆使する
といった内容で書くと判断します。
そうすると国際高校が公表している解答例のような文が書けます。
文法ミスの有無等は必ず誰かに添削してもらって確認してください。
問6
内容一致問題です。
ア:「人間にマイナスの影響は及ぼさない」⇒×(農家を病気にしたりします)
イ:「どの種類の害虫が自分を食べているのかがわかる」⇒×(そういった描写はない)
ウ:◯
エ:「修理に時間はかからない」⇒×(第8段落に修理は難しいと書いてある)
オ:◯
カ:「最初に現れたときに、すでに…」⇒×(多くの困難を生き残ったあとで、と書いてあります)
今回は以上です。
最後までお読みくださり、ありがとうございます。
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