2023年度(令和5年度)都立青山高校自校作成問題・国語大問5解説

2023年度(令和5年度)都立青山高校自校作成問題・国語大問5解説

こんにちは!都立自校作成校受験対策専門塾・誠学会の諏訪孝明です。

この記事では、2023年2月に行われた都立青山高校の自校作成問題の国語・鑑賞文(古典を題材にした説明文)の問題を解説します。

自校作成校受験生のうち、
・国語で安定して高得点をとるための読み方・解き方を知りたい
都立高校入試に独特の形式である鑑賞文に苦戦している
・過去問演習の後、自分の読み方・解き方や理解・解釈が合っているのかどうかを確認したい

といった方におススメです。

なお、今回の解説をより理解するために国語を解くときに気を付けてほしいことをこちらにまとめております。
今回の解説に先んじて読んでおいていただくと理解が深まります。
是非読んでみてください。

また、一度自力で本文を読み設問を解いてから読むことを強くお勧めします。

2023年度 都立青山高校の国語のその他の大問は以下のリンクをご覧ください。

では、解説をはじめます。

本文

鑑賞文では、
・筆者の主張
・論理構造を示す語句

に注意します。

ちょっと違う

ぼくのは先生のとちょっと違う

「ぼくの」⇔「先生の」 

この対比構造が示されています。

嬉しい

筆者の主観=主張を示しています。

ここでは、S口くんによる反論が嬉しいとのことです。

他に「場が盛り上がる」「興味をもってくれる」「ファイトが湧く」といった表現で何度となくS口くんによる反論に対するプラスの評価を下しています。

このことから、S口くんによる反論がこの文章のメインテーマと考えてよさそうです。

反対側

対比構造を示す表現です。

ここまでの流れから、「自分(筆者)の考え」⇔「S口くんの考え」と考えます。

「絶好の機会」というのもS口くんの反論に対するプラスの評価であり、ここからもS口くんの反論がこの文章のメインテーマであるとわかります。

結論

文章における「結論」は筆者のメインの主張です。当然、重要です。

ここでは、

・若葉の旺盛さがメイン

・富士山のすばらしさも詠まれている

というのがレポーターのK川さんおよびそれに賛成する筆者の結論とのことです。

副次的な存在

「副」というのは「主」と対比されます。

「主」がメインであり「副」がサブです。

メインが若葉、富士山はサブというK川さんや筆者の結論が傍線部1でも繰り返されています。

S口くんの主張

筆者の結論に対するS口くんの反論の内容が示されます。

・まず富士山(富士山がメイン)

・日本一立派な富士山を讃えている

K川さんや筆者は富士山は「サブ」と考えていますが、S口くんは富士山が「メイン」だと考えているようです。

べきであろう/すべきだろう

筆者の主張があることを示す文末です。

・富士山は重視されるべき

・始まりに着目すべき

といったかたちでS口くんの「富士山がメインだ」という観点からの考えを述べています。

窺われる

筆者の考え=主張があることを示す文末です。

ここでは、「この句は蕪村の自信作である」という主張です。

むしろ

対比構造を示します。

「富士を重視している」⇔「若葉を重視している」

の対比です。

そして、

「どちらの見方もありうるが、水掛け論になる」と述べています。

決着のつかない議論が続くことになる、ということですね。

すべき/べきだろう

筆者の主張があることを示す文末です。

ここでは、若葉を重視すべきでありその根拠は季語であるからという筆者の主張です。

重要

文字通り重要です。

ここでは、「切字によって修飾されている」から重要だという主張がなされています。

といわねばなるまい/~なのだ

筆者の主張があることを示す文末です。

こちらは筆者本人の主張ではなく筆者が引用した清水氏の主張です。

しかしながら、筆者がこのタイミングでわざわざ引用しているわけですから、筆者も同じ主張であると考えるのが自然です。

ということで、筆者は

「極めて斬新な手法なのだ」「大景観の形象化だ」という主張をしています。

大観の作である

直前の主張が繰り返されています。

こうした反復はとても重要です。

ここでは、

「日本を上空から見下したような大観」というフレーズが重要である(=設問に使う可能性が高い)と判断できます。

私も同感/べきではないか/かもしれない/言わざるをえない

すべて、筆者の主張があることを示す文末です。

ここでは、

・引用部分に対する賛成の意

・若葉がメインだ

・富士山がメインという考え方もあるかもしれない

・個人の感じ方の問題だ=人それぞれの感性の問題である

という主張がなされています。

どちらの考え方が正しいのかという議論に関して、「自分は若葉がメインだ」としつつも富士山がメインという考え方も否定せずに文章が終わりそうですね。

二項対立

文字通り、対比構造を示します。

「富士」⇔「若葉」です。

この文章のここまでの対比構造が改めて示されています。

~ではないか

筆者の主張があることを示す文末です。

ここでは、「うづみ残して」という表現の重要性が主張されています。

辛口の批評

マイナスの評価を示しています。

ここでは、直後に「しかし」があるのでマイナス評価がメインではないことがわかります。

そうではなく/後者

対比構造があることを示します。

「理屈くさい」「厭味がある」⇔「気のきいた理知的な捉え方」という対比です。

そして、筆者は後者の意見です。

~ではないか

筆者の主張があることを示す文末です。

重要

文字通り重要な箇所であることを示します。

ここでは、「うづみ残して」は注目すべき表現⇒その主語である若葉はやはり重要である

という主張になっています。

個人的なイメージ

こちらも筆者の主張を示します。

「緑の絨毯」とあり、やはり若葉に注目しているようです。

設問

問1

「副次的な存在」という表現から、メインが若葉、富士山はサブという主張が読み取れます。

また、これと対比されている主張として富士山がメインで若葉がサブという主張もあります。



ア:「単独で」⇒単独だとメイン・サブの区分がありません⇒×



イ:「一般的に(中略)中心的な素材となる」⇒一般論への言及はありません⇒×



ウ:「富士山の大きさや力強さ」⇒メイン・サブの議論とは別物になっています⇒×



エ:「この句においては」⇒イと違って一般論ではないことがわかる



  「~にはかなわない」⇒メイン・サブという序列の存在を示します⇒〇

問2

設問中の「気持ち」に注目し、本文中から

・気持ちが表現されている箇所

・こうした気持ち⇒富士山がメインであるとしている箇所

この2つのヒントから該当箇所を探すことになります。

すると、

「心地よい」の箇所に行き当たります。このフレーズが含まれている1文が今回探すべき1文です。

問3

「富士を重視している」⇔「若葉を重視している」の2つの対立する意見のどちらが正しいのかという議論が「水掛け論になる」と述べられています。

決着のつかない議論が続くことになるということです。

ア:「描写にこだわっていては」⇒×

イ:「ともに本質をついており」⇒どちらも「ありうる」という評価⇒本質とまでは言われていない⇒×

ウ:「むしろ」⇒対比構造に注目できている

  「いつまでも決着のつかない議論」⇒水掛け論ということばの意味が正しく書かれている

⇒〇

エ:「表面的なこと」「中身のない議論」⇒×

問4

「大景観の形象化だ」「大観の作である」という反復フレーズに注目できているかどうかを問う設問です。「日本を上空から見下したような大観」というフレーズがカギになりそうです。

ア:「力強い」⇒×

イ:「架空の視点」⇒×

ウ:「無数に集まっている」⇒×

エ:「上から全体を眺めた」⇒〇

問5

「若葉若葉」
⇒若葉というフレーズを反復している
⇒若葉が重要
⇒若葉がメインであることを表している
⇒若葉がメインであること、若葉の良さを示す6文字のフレーズを探す
⇒若葉がメインであることは筆者の主張である
⇒つまりこの文章の結論である
⇒この文章の序盤に「結論」という語があった
⇒そこに「若葉の旺盛さ」という6字のフレーズがある
⇒これが答え

今回の解説は以上です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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