東京都立戸山高校の推薦入試では小論文が課されます。
この小論文問題では、受験生が与えられた資料や実験結果を読み解き、自分の考えを論理的に説明する力が求められます。
2024度第2問のテーマは「生物のコミュニケーション」で、特に植物がどのようにして周囲の生物と意思疎通を行っているかについて考察する内容でした。
生物が互いに意思疎通を行う方法について理解し、自分なりの仮説を立てることが求められました。
この記事では、この問題の内容と解答方法を解説していきます。
問題は以下からご覧ください。
また、2024年度都立戸山高校の小論文大問1の解説の記事は以下をご覧ください。
目次
問題2の概要
問題2は「生物のコミュニケーション」について考える問題です。
具体的には、以下の2つの問いが課されています。
問1
実験結果から、ハンノキがどのような手段で「植物コミュニケーション」を行っているか、自分なりの仮説を立て、実験結果との関連性を含めて150〜200字で説明しなさい。
問2
問1で立てた仮説を証明するための実験方法と、その仮説が正しい場合に得られる結果を100〜150字で説明しなさい。
これらの問題では、実験結果を基にしてハンノキがどのように周囲のハンノキと意思疎通を行っているかを考察し、仮説を証明するための方法を考える力が試されています。
図1、図2の概要と解説
図1の概要と解説
図1では、ハンノキの葉を食害する「ハンノキハムシ」の幼虫と成虫の姿が示されています。
このハムシは、主に樹高2.5m以下に生えているハンノキの葉を食べることが分かっています。
ハンノキハムシの食害によってハンノキの葉が枯れたり落葉したりするため、ハンノキにとってはこの害虫が脅威となります。
この害虫に対抗するために、ハンノキがどのような方法でコミュニケーションを行っているかを考察することが問題のポイントとなります。
図2の概要と解説
図2では、2つの異なる実験結果がグラフで示されています。
図2A(実験)
実験エリア内で、ランダムに選んだハンノキの樹高2.5mより上部の葉を20%手動で落葉させました。
この疑似的な「食害」を受けた木の近くにある他のハンノキでは、2.5m以下の葉がどの程度食害を受けたかが示されています。
図2B(対照実験)
別のエリアでは、手動での落葉処理を行わずに同様の調査を行い、実験開始から7日後に樹高2.5m以下の葉がどの程度食害を受けたかを示しています。
解説
図2Aの結果から、疑似的な「食害」を受けたハンノキの近くにある木々では葉の食害が少ないことが示されています。
これは、ハンノキが化学物質を放出し、周囲のハンノキに食害の危険を知らせ、防御反応を引き起こしている可能性を示唆しています。
一方、図2Bの対照実験ではそのような傾向は見られず、ハンノキが実際にコミュニケーションを行っている可能性が高いと考えられます。
問1の解説と解答例
問題文の指示とポイント
問1では、実験結果に基づき、ハンノキがどのような方法で「植物コミュニケーション」を行っているかについて仮説を立て、その仮説を実験結果と関連づけて説明することが求められています。
仮説を立てる際には、実験結果と関連するように論理的に考えることが重要です。
解説
仮説の立て方
図2Aの結果から、食害を受けたハンノキが揮発性化学物質を放出し、周囲の木に危険を知らせていると考えられます。
ハンノキは食害を受けると防御物質を生成し、他の木もそれを受け取ることで防御反応を示した可能性が考えられます。
実験結果との関連性
図2Aでは落葉処理をした木の近くにあるハンノキの葉の被害が少なく、図2Bではそのような変化が見られないことから、揮発性化学物質が原因と推測できます。
解答例
ハンノキは害虫被害を受けた際、揮発性化学物質を放出して周囲のハンノキに警告信号を送っているという仮説をたてました。この仮説は、実験結果で落葉させた木の近くのハンノキの葉の被害が少なかったことと関連しています。揮発性化学物質が周囲に拡散し、それを受け取った周囲のハンノキが防御反応を示していると考えられます。
(153文字)
問2の解説と解答例
問題文の指示とポイント
問2では、問1で立てた仮説を証明するための実験方法と、仮説が正しい場合に得られる結果について説明することが求められています。
仮説を実験で検証するための具体的な方法を考え、実験結果を予測する力が求められています。
解説
実験方法の考え方
仮説を証明するためには、ハンノキが放出する揮発性化学物質を他のハンノキに散布し、その反応を観察する方法が考えられます。
こうすることで、揮発性化学物質が他のハンノキに防御反応を引き起こすかを確認できます。
予測される結果
もし仮説が正しい場合、散布されたハンノキも防御反応を示し、葉の被害が減少することが期待されます。
解答例
仮説を証明するためには、害虫被害を受けたハンノキが放出する化学物質を採取し、それを別のハンノキに散布する実験を行います。仮説が正しければ、散布されたハンノキも防御反応を示し、葉の被害が減少すると期待されます。もしそうなると、ハンノキ間で化学物質を介したコミュニケーションが行われていると証明できます。
(150文字)
まとめ
戸山高校の推薦入試小論文では、問題の資料を読み解き、自分なりの考えを論理的にまとめる力が求められます。
今回の「生物のコミュニケーション」に関する問題では、実験データを正しく読み取り、それをもとに自分の仮説を論理的に構築し、さらに仮説を証明する実験方法を考える力が試されました。
このような小論文では、データに基づきつつ、具体的な考察を行うことで説得力のある解答が作成できます。
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