国立高校

国立高校

国語

大問1

大問1では漢字が8題出題されます。

【前半4問】

  • 読みの問題
  • 中学校で習う漢字が含まれる。
  • 熟語だけでなく送り仮名を伴う訓読みの読み方が出題される(遡る、賜る、慰める、擁するなど)

【後半4問】

  • 書きの問題
  • 小学校で習う漢字からの出題がほとんど(ほぼ例外なし)
  • こちらも熟語だけでなく送り仮名を伴う訓読みの読み方が出題される(織る、預ける、委ねるなど)
  • 四字熟語は過去5年間で1度だけ出題されている

といった特徴があります。

小中学校9年間で習うことになっている漢字1つ1つの音読み・訓読みをチェックしつつ漢字ドリルで練習をするのが良いと思われます。

大問2

大問2では物語文が出題されます。

1:本文

直近3年間の物語文の主題を紹介します。

2023年度:チームワーク

2022年度:友人たちの成長を実感する

2021年度:創作活動に伴って生じる様々な感情

3年連続で受験生とほぼ同世代の登場人物たちが様々な感情を抱きながら何かを頑張るというストーリーが出題されています。

共通問題も含め、都立高校入試の物語文における王道パターンですね。

まずは共通問題や共通問題を想定した模試の過去問でのトレーニングを重ねると良さそうです。

2:設問

2021年度〜2023年度の3年間における設問は、多い順に以下の通りでした。

  • (主に主人公の)様子
  • (主に主人公の)心情
  • 文章の表現(慣用句や比喩表現に注目させることが多い)
  • 気持ちの変化
  • 気持ちの理由
  • 登場人物の説明

上位2つの出題が圧倒的に多いです。

特に、国分寺高校は主人公にフォーカスした問題が圧倒的に多いです。

物語文を読解する際は登場人物の心情やそれを示す描写(セリフ・行動・風景等)に注目するのが鉄則ですが、特に国分寺高校では主人公のそれに注目する必要がありそうです。

大問3

大問3では説明文が出題されます。

1:本文

直近3年間の説明文のテーマを紹介しますと、

2023年度:「私」「自己」とはなにか

2022年度:労働が生み出す「価値」と「使用価値」

2021年度:貨幣や市場における価格調整機能の役割

となります。

経済に関連する問題が多いですね。

2020年度以前も、自由競争やグローバリズムといった主題が続いておりました。

ただし、2023年度は一転して哲学的なテーマとなりました。

この年限りの現象なのか、問題作成担当者の変更などの要因でこれからは哲学的なテーマの出題が続くのか不透明です。

都立高校の先生には「異動」がありますので、個人的には問題作成担当者が変更された説を推しています。

すなわち、2024年度も引き続き哲学的なテーマの説明文が出題されるのではないかと予想しているということです。ただし、あくまでも単なる予想なのであまりアテにはしないでくださいね。

とはいえ、国分寺高校の説明文対策は「哲学的なテーマ」「経済のテーマ」を二本柱としておけば間違いはなさそうです。

2:設問

2021年度〜2023年度の3年間における設問は、多い順に以下の通りでした。

  • 内容説明(「~はどういうことか」)
  • キーワードの説明
  • 筆者がそう述べる理由
  • 200字作文
  • 段落構成
  • 筆者が引用した人物の考え

特徴としては、

  • 200字作文が毎年出題される
  • 200字作文は「体験の具体例を考えるのが難しいテーマが多い」
  • 内容説明とキーワード説明が圧倒的に多い
  • 段落構成に関する出題も目立つ

といったものが挙げられます。

200字作文は、「テーマのクセが強い」というのが率直な印象です。

ただし、それは文章のテーマが経済関連のものであったことと強く関連しています。

テーマが経済ではなかった2023年度は書きやすいテーマ(「自分の責任で決断する」)でした。進路や新しいことへの挑戦など、大人が喜びそうなトピックでの創作が極めてしやすいテーマだったと言えます。

内容説明やキーワード説明の問題が多いので、文章を読む際に意味の分からない単語や文があったら、それが何を示しているのか・何を意味しているのかを文章全体の内容や流れを踏まえてハッキリさせていく練習をすると良さそうです。

また、段落構成の問題も多いので、接続詞に注目するなど段落間のつながりに注目しながら読んでいくクセをつけていくと良いですね。

大問4

大問4では、古文や漢文を題材にした鑑賞文が出題されます。

鑑賞文とは、特定の作品の良さを語った文章です。

1:本文

直近5年間の鑑賞文の題材を紹介しますと、

2023年度:松尾芭蕉の弟子の歌論

2022年度:『古今集』の和歌

2021年度:『徒然草』

2020年度:『平家物語』

2019年度:『万葉集』の和歌

となります。

時代・ジャンルともに幅広く、偏りのない分布となっています。

おそらく、意図的に散らしているのでしょう。

ということで、そろそろ物語文の王道『源氏物語』あたりが怪しいのではないでしょうか。

という当たる可能性の低い予想はさておいて、他の自校作成校の過去問を使って幅広いジャンルを扱った鑑賞文を読解する練習をしておいてください。

2:設問

2021年度〜2023年度の3年間における設問は、多い順に以下の通りでした。

  • 本文の内容説明
  • 和歌の内容説明
  • 文章の主旨
  • 語句の意味・用法
  • 筆者がそう主張している理由
  • 作品の作者がそう主張している理由
  • 古文と現代語訳を照らし合わせて対応箇所を探す

大問3に続いて内容説明の問題が多いです。

これは、和歌をテーマとしない年に特に顕著でした。

和歌をテーマとする場合、和歌の内容説明が多いのが目立ちました。

大問3と同じく、1つ1つの語句や文の指し示している内容や意味について明確にすることで高得点が期待できそうです。

英語

大問1

大問1はリスニング問題です。

リスニング問題は自校作成問題ではなく、共通問題となりますのでこちらをご覧ください。

大問2

大問2は会話文の読解です。

1:本文

直近3年間の会話文のテーマを紹介します。

2023年度:エコツアーについて

2022年度:休日の過ごし方について

2021年度:日本とニュージーランドの違いについて

会話文といえど、たわいもない内容であることはあまりありません。

テーマをみるとたわいもないおしゃべりのような2022年度であっても、途中で「ネットボール」というあまりなじみのないスポーツが登場することによって一気に内容面で読みづらさが増します。

とはいえ、内容が難しすぎて読めないということは無いように感じます。

都立入試共通問題の大問3の会話文から練習を積み重ねれば問題なく読みこなせるようになるのではないかと思います。

2:設問

2021年度〜2023年度の3年間における設問は、多い順に以下の通りでした。

  • 会話文中の空欄に入る、本文の流れに合う発言を選ぶ
  • 単語・語句を並び替えて正しい英文をつくる(いわゆる整序問題)
  • 内容一致問題(本文の内容に合う選択肢を選ぶ)
  • 会話文中で紹介されたイベント等についての正しい説明を選ぶ
  • 指示語を具体化する
  • 英語の決まり文句の意味を考える
  • 料金表を読み取る
  • 英文の内容を読み取る

上3つはどの自校作成校の会話文問題を解いてもたくさん出題されています。

ですので、苦手ならたくさん解きつつ解くたびに「どうすれば解けたのか」「どう考えて解いてくべきなのか」を考えたり教えてもらったりすればできるようになります。

英語の決まり文句(直訳では意味が少し分かりづらい表現)が出題されます。

これはその場で意味を考えることができればOKではあるのですが、都立自校作成校の英語は本文が長く時間がタイトであることも多いため一覧に目を通して可能な限り覚えておくと良いかもしれません。

大問3

大問3も会話文の読解です。

ただし、大問2と異なりグラフが挿入されます。

1:本文

直近3年間の説明文のテーマを紹介します。

2023年度:ボランティア活動

2022年度:読書

2021年度:仕事選びの基準

何といっても、グラフを見ながらの会話文であることが特徴的です。

これは他校にはなかなかない特徴ですので、国分寺高校の過去問を1年でも多く手元に集めて解くのが良いと思われます。

2:設問

2021年度〜2023年度の3年間における設問は、多い順に以下の通りでした。

  • 単語・語句を並び替えて正しい英文をつくる(いわゆる整序問題)
  • グラフの数値に該当する項目を選ぶ
  • 内容一致問題(本文の内容に合う選択肢を選ぶ)
  • ある発言が入る箇所を複数の空欄から選ぶ
  • 本文中の空欄に当てはまる1語を答える
  • 特定の条件を満たしている人物を選ぶ
  • 会話文中の空欄に入る、本文の流れに合う発言を選ぶ
  • 英語の決まり文句の意味を考える

やはり、特筆すべきはグラフを活用した問題ですね。

これはなかなか類題を探すのが難しいです。

共通問題の大問2ではグラフを活用する問題が出題されやすいのですが、国分寺の問題と比べてかなり会話が短いです。したがって、「あまり良い練習にならない」と思う人が多いのではないでしょうか。ここは、やはり先ほども述べた通り国分寺高校の過去問を1年でも多く手元に集めて解くのが良さそうです。

大問4

大問4は物語文の読解です。

1:本文

直近3年間の物語文の内容を紹介します。

2023年度:人工知能についてのミーティングに参加

2022年度:塩の博物館のオンラインツアーに参加

2021年度:交換留学生の国際交流

物語文といいつつ、物語性はあまりありません。

そうではなく、2022年度からは物語の形をした説明文といった文章が出題されています。ちなみにそれ以前は2021年度のような交換留学生が登場する文章が多かったです。

直近の傾向を踏まえると、都立共通問題の大問4のようなタイプの物語文ではあまり対策になりません。

むしろ、他の自校作成校の説明文を解くのが良さそうです。

2:設問

2021年度〜2023年度の3年間における設問は、多い順に以下の通りでした。

  • 内容説明(該当する数値を選ぶ問題を含む)
  • 本文中の空欄を埋める(1~2語)
  • 単語・語句を並び替えて正しい英文をつくる(いわゆる整序問題)
  • 本文の内容を踏まえ、会話文の空欄に当てはまる発言を入れる
  • 英作文
  • 内容一致問題(本文の内容に合う選択肢を選ぶ)

何といっても、特筆すべきは英作文です。

20〜40語で、ここ2年は「2つ以上の理由をつけなさい」という要求もなされています。ここ2年のテーマは「科学的なことについての発表」「どんなテーマの博物館をつくりたいか」という理系的なテーマが目立ちます。

英検3級や準2級のライティング対策本を活用して、こういったテーマの文章の書き方を身に付けたり役に立つ語句を覚えたりしておくと良いですね。

それ以外の問題については、長い本文の内容をしっかりと理解しているかどうかが問われている問題が多いです。長いからといって適当に読むのではなく、しっかりと内容を理解しながら読むようにしてください。時間が足りないからといって適当に流し読みするクセがついてしまうのが一番危険だと思います。

数学

国分寺高校の数学自校作成問題には一定の傾向があります。

傾向を把握しておくと対策がスムーズに行えます。

また、解き方が思いつかず詰まってしまった問題の解決の糸口をつかむきっかけにもなるかもしれません。

国分寺高校の数学における傾向(と対策)をお伝えします。

1:大問1の出題内容と対策

問1

入試年度出題内容
2023年度根号を含む式の計算
2022年度小数と分数を含む式の計算
2021年度根号を含む式の計算

問1では根号を含む式の計算が出題されます。

有理化など根号を含む式特有の取り扱いに慣れておくとともに都立共通問題の数学大問1で出題されるものより少し複雑な根号を含む式の計算練習をしておきましょう。

なお、2022年度は根号がまったく登場しない式の計算が出題されました。心配な人は、中学1年生向けの教材に載っている正負の計算のうち難しめの式の計算も練習しておきましょう。

問2

入試年度出題内容
2023年度二次方程式
2022年度二次方程式
2021年度二次方程式

問2では二次方程式が出題されます。

また、ここ2年は、例えば「(x-2)=A とおくと…」といったような文字でおきかえるとと計算が楽になるような問題となっています。

二次方程式の計算も都立共通問題の数学大問1で出題されるものより少し複雑な問題で練習しておきましょう。

問3

入試年度出題内容
2023年度連立方程式
2022年度根号を含む式の整数部分・小数部分を利用する問題
2021年度コイン投げの確率(問4で連立方程式の出題あり)

このあたりからパターンが崩れている感じがしますね。

2020年度以前の問題も見てみたところ、

  • 連立方程式の問題が出題されるかどうかは隔年である
  • 出題された場合、分数や小数を含む問題

といった傾向にあるようでした。

また、連立方程式が出題されない年に、その代わりに出題される問題の法則性はあまり見出せませんでした。図形の角度や面積、体積を含む図形分野の小問について練習しておく必要がありそうです。

問4

入試年度出題内容
2023年度サイコロの確率
2022年度カードの確率
2021年度連立方程式(問3でコイン投げの確率の出題あり)

ここはパターンがあると言えそうです。

確率の問題は出題可能性がかなり高そうですね。

題材にはサイコロ・カード・コインがあり、2020年度にさかのぼると2023年度と同じサイコロの問題が出題されていました。

とはいえ、他に袋の中から球を取り出す問題などの出題もあり得ますのでサイコロ・カード・コインを中心としつつも様々なバリエーションの確率の問題を練習しておくと良いと思います。

問5

入試年度出題内容
2023年度平均値・中央値を利用する問題
2022年度食塩水に関する文章題
2021年度食塩水に関する文章題

この3年間だけを見ると「食塩水の問題がメイン」「平均値・中央値を利用する問題はたまたま出題されただけ」に見えますが、さらにさかのぼってみると平均・中央値など中1で学習する「データの活用」に関する出題が続いています。

この単元のことがら(他に相対度数、階級値など)もしっかりと復習しておきましょう。

問6

入試年度出題内容
2023年度作図の問題
2022年度作図の問題
2021年度作図の問題

ここは毎年固定のようですね。

必ず作図の問題が出題されているようです。

作図の問題は、どんなに条件設定が複雑でも

  • 垂直二等分線
  • 垂線
  • 角の二等分線
  • 円(の一部)

を書けば活路が見いだせる問題がほとんどです。

行き詰ったときに参考にしてください。

2:大問2の出題内容と対策

大問2では関数の問題が出題されます。

2021年度〜2023年度はすべて二次関数の問題でした。

さらにさかのぼってみても、ここ5年はずっと二次関数の問題でした。

全部で3問出題されるのですが、年によって問1・問2・問3だったり問1(1)、問1(2)、問2だったりして表記の方法がバラバラです。

したがって、ここでは1問目・2問目・3問目という表記でいきたいと思います。

1問目

入試年度出題内容正解のためのポイント
2023年度条件を満たす点の座標を求める30度ー60度ー90度の直角三角形の辺の長さの比
2022年度条件を満たす点の座標を求める直線上にある2点の座標から傾きを求める
2021年度条件を満たす点の座標を求める直線上にある2点の座標から傾きを求める

一番最初の問題ということで、比較的取り組みやすい問題が出題されます。

しかしながら、2023年度は関数分野ではなく図形分野の知識が正解するためのキーとなりました。「関数の問題において図形分野の単元で習ったことを使う場合がある」ということをしっかりと覚えておきましょう。

2問目

入試年度出題内容正解のためのポイント
2023年度条件を満たす点の座標を求める平行線と三角形の面積
2022年度条件を満たす直線の式を求める平行線と三角形の面積
2021年度三角形の面積を求める平行線と三角形の面積

それぞれ出題内容は異なりますが、いずれも平行線と三角形の面積の関係を利用することがキーとなる問題でした。

これは国分寺高校に限らず多くの自校作成校において気づくことができるかできないかの差がつきやすいことがらになっていますので、関数の問題で行き詰ったときは常に「平行線と面積の関係を使うのではないか」と考えることがとても重要です。

3問目

入試年度出題内容正解のためのポイント
2023年度条件を満たす四角形の面積を求める正方形の性質(各辺の長さが等しい)
2022年度条件を満たす点の座標を求める辺の長さの比が3:4:5になる直角三角形がある角の二等分線と線分の比の定理
2021年度条件を満たす点の座標を求めるy軸に平行な直線を引いて三角形の面積を求めやすくする

こちらは出題内容も異なりますし、正解のためのポイントも毎年異なりますね。

共通点としては「図形の性質を利用している」というものがあります。

2021年度のキーとなったのは、「三角形の面積を求める場合の底辺と高さは垂直でなければならない⇒垂直であることを実現するために、x軸とy軸が垂直であることを利用してx軸またはy軸の平行線を引くことで三角形の面積を求めることができるようになる場合がある」という考え方、テクニックになります。

とても重宝するものなので、確実に使えるようになっておきましょう。

3:大問3の出題内容と対策

大問3では平面図形の問題が出題されます。

2021年度は円、2022年度は半円、2023年度は正方形が題材となりました。

円を出題すると円周角の定理などの円の性質を出題して他の大問にはない独自性を出すことができますので、都立自校作成校の平面図形の問題では人気のテーマです。

大問2と同様に、全部で3問出題されるのですが年によって問1・問2・問3だったり問1(1)、問1(2)、問2だったりして表記の方法がバラバラです。

したがって、ここでも1問目・2問目・3問目という表記でいきたいと思います。

1問目

入試年度出題内容正解のためのポイント
2023年度条件を満たす三角形の面積を求める30度ー60度ー90度の直角三角形の辺の長さの比
2022年度条件を満たす三角形の面積を求める直径に対する円周角は90度円周角の定理30度ー60度ー90度の直角三角形の辺の長さの比
2021年度角度の大きさを文字で表す直径に対する円周角は90度円周角の大きさは弧の長さに比例する

先ほどお話しした通り、円を題材にすると用いるルールに独自性が出ます。

円周角の定理は、学校では3年生の2学期に習う単元です。

学校の進度で数学を勉強していると、問題演習を開始する時期が遅れてしまいその分不利になってしまいます。夏休みなどのまとまった時間が確保できる時期を利用して学校で学ぶより先に学習しておくことをお勧めします。

2問目

入試年度出題内容正解のためのポイント
2023年度4点が1つの円周上にあることを証明する円周角の定理の逆正方形の対角線の性質
2022年度相似の証明円周角の定理長さの等しい弧に対する円周角は等しい
2021年度相似の証明円周角の定理平行線の錯角は等しい

ここでは証明の問題が出題されています。

証明の問題では、「正解のためのポイントは何か」ということ以上に「減点されない証明の書き方」が重要になります。

幸い、国分寺高校は(他の都立自校作成校もそうですが)証明問題の解答例を公表しています。VもぎやWもぎの証明問題で減点に悩んでいる人は、まずこれらの公表されている解答例を書き写して練習すると良いです。

また、2023年度は正方形が題材であり円とは無関係に見えますがここで結局円に関する性質を利用することになりました。

先ほど申し上げた、円周角の定理を含む単元を先取り学習して演習時間を確保しておく重要性を理解していただけるかと思います。

3問目

入試年度出題内容正解のためのポイント
2023年度条件を満たす三角形の面積を求める三平方の定理円周角の定理相似な三角形の性質
2022年度線分の長さを求める長さの等しい弧に対する弦の長さは等しい円周角の定理の逆三平方の定理円周角の定理直角二等辺三角形の辺の長さの比相似な三角形の性質
2021年度ある三角形と別の三角形の面積比を求める高さが等しい三角形の面積比は底辺の長さの比に等しい中点連結定理平行線と線分の比

平面図形のラストの問題ということで、「ここでこれを使うことを思いつくのは大変そう」という解答プロセスが目立ちます。

類題を解いて慣れていくしかありません。

ただし、時間をかけすぎないようにしてください。

国分寺高校の入試は数学で満点をとれないと合格できない試験ではありません。したがって、数学以外の4教科を含めてもっと簡単に得点アップできる項目がある場合にはそちらを優先することを強くお勧めします。

4:大問4の出題内容と対策

大問4では空間図形の問題が出題されます。

2021年度は直方体、2022年度は正四角錐、2023年度は立方体が題材となっています。

大問2・3と同様に、全部で3問出題されるのですが年によって問題表記の方法がバラバラです。

したがって、1問目・2問目・3問目という表記でいきたいと思います。

1問目

入試年度出題内容正解のためのポイント
2023年度条件を満たす線分の長さ三平方の定理
2022年度三角形の面積合同な三角形の面積は等しい
2021年度ある線分の長さと別の線分の長さの比を求める線分の長さを文字でおいて、それを使って図形の面積を表す三角形の面積の公式台形の面積の公式

空間図形は苦手とする人が多いです。

しかし、正解のためのポイントは平面図形のものと変わりません。

したがって、少なくとも1問目は正解しておきたいです。

どの平面図形に注目すれば解けるのかを意識して解き進めるようにしてください。

2問目

入試年度出題内容正解のためのポイント
2023年度条件を満たすのは何秒後か場合分け
2022年度3つの線分の和が最小となるときの合計値展開図を書いて考える3つの線分の和が最小⇒4点が一直線上に並ぶ30度ー60度ー90度の直角三角形の辺の長さの比三平方の定理
2021年度三角錐の体積を求める相似な三角形の性質を利用する

1問目と異なり空間図形ならではのキーポイントが登場し始めました。

ここからは正解できるようになるか、いったん他の大問や他の教科を優先するかを見極めることが必要になってきます。

ただし、すべて「空間図形の問題の解法」としては典型的なものばかりです。

まずは空間図形の典型的な解法が紹介されている網羅的な教材に取り組み、それに対する理解度や手ごたえをみて優先順位を決めても良いかもしれませんね。

3問目

入試年度出題内容正解のためのポイント
2023年度①線分の長さを求める②立体の体積比を求める③立体の体積を求める相似な三角形の性質相似な立体の体積全体から該当しない箇所を引く
2022年度立体の体積を求める平行線と線分の比補助線を引いて平行線をつくる
2021年度三角形の面積を求める平行線を引き、その性質を利用する相似な三角形の性質を利用する

ここまでくると、補助線を引いて考える必要があるなど一筋縄ではいかない問題が出題されます。

入試当日、この問題にどれだけの時間を割くことができるのかは他の問題の進み具合次第です。くれぐれも無理に時間をかけすぎないようにしてください。先ほども申し上げた通り、満点でなくても合格はできます。

とはいえ、

  • 三角形の相似を利用する
  • 平行線を引く
  • その平行線の性質を利用する

といったかたちである程度のパターンは存在しますので内申点が低い・他教科に苦手教科があるといった事情でかなりの高得点がノルマになってしまっている受験生はこうしたパターンを常に意識しながら空間図形の3問目に挑んでください。

理科

理科社会は自校作成問題ではなく、都立高校共通問題が出題されますのでコチラをご覧くださいませ。

社会

理科社会は自校作成問題ではなく、都立高校共通問題が出題されますのでコチラをご覧くださいませ。

小論文

国分寺高校の推薦入試では、2題の小論文が出題されます。

1題は文章を読んでその主旨を読み取りつつ与えられたテーマに関する自分の考えを述べる問題です。

もう1題は表やグラフから情報を読み取り、それを踏まえて自分の考えをまとめる問題です。

国分寺高校は推薦入試小論文において、当日与えた文章や資料をHPで公開していません。

したがって、それぞれの年においてどのようなテーマを扱ったのかは公開されている設問から推測するしかありません。

過去5年分のテーマを推測してみましょう。

2023年度

文:働きやすい労働環境

図:世帯種別の食料費内訳グラフ

2022年度

文:問題発見力、不確実性の時代を生きるために必要なこと

図:環境問題について人々の関心を高めるための方策

2021年度

文:生きることと考えること

図:世界の人口増加が食生活に与える影響

2020年度

文:格差と幸福

文:努力することについて

図:北海道の高山帯における植物の分布

2019年度

文:自分で考えることの重要性

図:旬の食材を摂取することの重要性

2019年度~2022年度は

文:自分の頭で考える、自分の意見を持つ、自分の価値観を明確にするといった「自立」「自我」に関連する問題

図:時事問題に関連する問題

といった傾向が見られます。

しかし、2020年度において理系的なテーマに関する図表の読み取りが出題されたこともありました。

また、2023年度においては文章の問題も労働環境(≒働き方改革、ブラック企業とホワイト企業)という時事問題的なテーマとなりました。

まとめますと、

  • 時事問題や現代日本社会が抱える問題については予備知識や自分の意見をもっておく
  • 予備知識があまりないテーマの図表から情報を読み取る練習をしておく

の2つが国分寺高校独自の対策として必要かと思います。

一般的な小論文対策、つまり小論文の文章構成や文章を書く際に注意してほしいことは以下の記事にまとめておきました。

是非こちらも併せてご覧ください。

集団討論

令和6年度(2024年度)の都立高校の推薦入試において、一部の学校では集団討論を再開しましたが、国分寺高校では引き続き集団討論を実施しないこととなりました。

2025年度以降についてはこの記事を書いている時点では動向が不明ですので、引き続き注意が必要です。

国分寺高校が集団討論を再開した場合に備え、過去の討論テーマを紹介しておきます。

R2日本の幸福度に関する国際調査から、日本の幸福度が増すための課題を挙げ、その課題を解決するための手立てや方策を話し合う。
H31日本の昭和30(1955)年と平成29(2017)年 の男女別、年代別の人口グラフを参考に、 ① 日本の社会にどのような問題が生じると 思うか。様々な視点から問題点を挙げる。 ②  ①で挙げた問題点を整理し、その問題 を解決する手立や方策をグループで討議 し、具体策を導く。
H30提示されたイラストを参考に避難所の運営スタッフとして設定されたケースについて検討する。
H29日本では高齢化が進み、65歳以上の高齢者人口が総人口の4分の1を超えました。このような超高齢化社会においては、どのような問題が生じると思いますか。そして、それらの問題に対する改善策を挙げ、その中でどれが最も重要であるかを話し合ってまとめなさい。
H28クラスで行うボランティア活動について
H272020年東京オリンピック・パラリンピックにど のように関わるか。
H26商品の価格は、安い方がよいか。
H25係活動(生徒会や委員会を含む)で困ったら どうしますか。あなたの経験を踏まえて答え てください。

出典:https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/admission/high_school/ability_test/theme/

ボランティア活動関連:H27、H28、H30

学校生活関連:H25、

現代社会:H26、H29、H31、R2

と分類できます。

直近の3年間は資料からいかに情報を読み取るかが重要となるテーマとなっており、かつ直近2年は日本社会が現在抱えている諸問題についての予備知識・前提知識の多寡が有利不利をもたらすテーマになっているように感じます。

もし国分寺高校で集団討論が再開された場合は、時事的なテーマやそれに対する自分の意見をまとめておくと良さそうです。

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