都立戸山高校推薦入試小論文解説・令和5年度(2023年度)第2問

2023年度(令和5年度)都立戸山高校推薦入試小論文大問2解説

東京都立戸山高校の推薦入試小論文は、与えられた資料をもとに課題について考察を深める力を試す形式です。
今年度の小論文では「原子の構造と安定性」に関する問題が出題され、原子核の構成要素や安定性について理解する力が求められました。
この問題は、資料に示された図表をもとに原子核の構造や安定性の特徴を論理的にまとめる必要があります。

 問題は以下からご覧ください。

また、2023年度都立戸山高校の小論文大問1の解説の記事は以下をご覧ください。

問題2の概要

問題2は以下の資料を使って原子の安定性に関する知識を問う内容です。

  • 図1:原子の構造
  • 図2:いくつかの元素の原子構造と表記方法
  • 表1:安定な原子の陽子数と中性子数
  • 図3:安定な原子の陽子数と中性子数の分布

設問では、陽子と中性子のバランスによる原子核の安定性についての理解と、安定性が原子番号によってどのように変化するかを論理的に説明することが求められます。

図1、図2、表1、図3の概要と解説

図1

図1は、原子の基本的な構造を示しており、原子核とその周囲を回る電子の配置が表されています。
原子核は陽子と中性子で構成されており、陽子は正の電荷を持ち、中性子は電荷を持たないという性質がわかります。

陽子と中性子の存在によって原子核が構成されていること、陽子は電気的に反発するが中性子は引力として働くことが理解できます。
この図は、原子が基本的な構成要素(陽子、中性子、電子)によって成り立っていることを視覚的に理解する助けとなります。

図2

図2は、いくつかの代表的な元素について原子構造と元素記号を用いた表記を示しています。
水素(H)や炭素(C)の陽子数と中性子数の違いが視覚的にわかります。

この図から、同じ元素でも異なる中性子数を持つ「同位体」が存在することがわかります。
同位体は陽子数が同じでも中性子数が異なるため、安定性が変わることがあります。
図2の情報は、原子核内の陽子と中性子の数が原子の安定性にどのように影響するかを考える手助けとなります。

表1

表1は安定な原子における陽子数と中性子数の組み合わせを一覧にしたもので、原子番号ごとに中性子の数がどのように異なるかが示されています。

陽子数が少ない場合、中性子の数も陽子とほぼ同じですが、陽子数が多くなるにつれて中性子数が多くなる傾向が見られます。
この表から、陽子が多くなると原子核を安定させるために中性子が増加し、陽子間の電気的な反発を抑制していることが読み取れます。

図3

図3は安定な原子の陽子数と中性子数の分布を示したグラフで、陽子数と中性子数の比率がどのように変わるかが視覚的にわかるようになっています。

グラフでは、陽子数が小さい原子では陽子と中性子がほぼ同数で安定しますが、陽子数が大きくなると中性子数が増える傾向が見られます。
これは、陽子間の反発を中性子が引きつける力で抑えているためであり、原子番号が大きくなるほど中性子が安定性に必要な役割を果たしていることがわかります。

問いの解説と解答例

設問では、表1と図3の情報をもとに、安定な原子核の陽子数と中性子数の違いを説明し、その理由も合わせて記述することが求められています。
特に原子番号が小さいときと大きいときで中性子数がどのように異なるか、その意味を考えることがポイントです。

・原子番号が小さい場合
陽子数と中性子数がほぼ同数でも安定しています。
これは、陽子数が少ないため陽子同士の反発力が小さく、中性子による引力が少なくても安定性が保たれるからです。

・原子番号が大きい場合
陽子数が増加するため、反発力が大きくなり、それを抑えるために中性子が増えています。
中性子は陽子の反発を抑え、原子核を安定させる「接着剤」としての役割を果たします。

解答例

原子番号が小さい場合、陽子数と中性子数がほぼ同数で安定しており、陽子同士の反発力が少ないためです。しかし、原子番号が大きくなると陽子同士の反発力が増大するため、より多くの中性子が必要となります。中性子は陽子間の反発を抑える役割を持つため、大きな原子番号の原子ほど中性子数が多くなることで安定性を保っています。したがって、安定な原子核の中性子と陽子の比率は原子番号によって変化します。

まとめ

戸山高校の推薦入試小論文では、資料を正確に読み解き、論理的に説明する力が重要です。今回の「原子の安定性」に関する問題では、原子番号によって異なる陽子と中性子のバランスの理解が求められました。小論文を書く際には、具体的なデータに基づき、論理的に説明することが求められます。このように、資料の情報を整理し、論理的に解答を導き出す練習を重ねることが、良い小論文作成への近道です。

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