都立立川高校普通科推薦入試小論文解説・令和4年度(2022年度)

2022年度(令和4年度)都立立川高校推薦入試小論文解説

都立立川高校普通科の推薦入試では、論理的思考力・資料の分析力・表現力が総合的に問われます。

この記事では、2022年度の都立立川高校普通科推薦入試で出題された小論文問題について詳しく解説します。
問題を解いた後に解説を読むことで、より深い理解が得られるので、まずは実際に問題に取り組んでみましょう。

小論文の問題はこちらからご覧ください。

では解説を始めていきます。

第1問

この問題では、「自由であることの苦しみ」についての考察を求められています。
筆者は、現代社会において「自由」が与えられたことで、逆に「どう生きるか」に迷い、苦しみを感じる人が増えたと述べています。その上で、「自由」は人間にとって最も価値のあるものだと主張しています。

このテーマについて、自分の経験を踏まえながら、論理的に考察を深める力が問われる問題です。

文章の内容

  • 現代社会では「自由」であることが当たり前になっているが、その中で迷いや苦しみを感じる人が多い
  • 自由競争社会では「自己責任」が強調され、成功も失敗もすべて自分の選択次第となる
  • 「自由であることの苦しみ」は、「不自由」な社会では感じにくい問題である
  • それでも、筆者は「自由は人間にとって最上の価値である」と述べている

設問要求

① 今後経験しうる「自由であることの苦しみ」について述べる
② 課題文の内容を踏まえ、具体的な事例を挙げる
③ 「自由は最上の価値である」という筆者の考えに対し、自分の意見を述べる
④ 論の展開を意識し、複数の段落に分けて論理的に構成する(420字以内)

解答のポイント

本文で言及のある「自由競争」による苦しみの代表例として大学受験や就職活動を取り上げると、具体的に書きやすくなります。
また、「自由でない社会」との対比として江戸時代の身分制度などを挙げると、論理展開が明確になります。

解答例

 現代社会では、個人の自由が尊重される一方で、「自由であることの苦しみ」も生じている。例えば、大学受験では、自らの進路を自由に選べるが、それゆえに多くの選択肢の中で迷い、不安を感じることも多い。どの大学・学部を選ぶかによって将来の職業や生活が左右されるため、プレッシャーも大きい。
 また、就職活動においても、企業選びやキャリア形成の自由が与えられているが、それがかえって決断を難しくする。終身雇用が当たり前だった時代と異なり、転職や副業といった選択肢が広がる中で、どの道を選ぶべきか迷いが生じやすい。
 しかし、自由があるからこそ、自分の意思で人生を切り開くことができる。社会に縛られず、自分なりの幸せを追求できる点において、「自由」はやはり最上の価値である。選択に迷い、苦しむことがあったとしても、その経験を通じて成長し、自らの道を見出すことこそが、自由を享受する上での意義なのだと考える。(397文字)

第2問

概要

この問題では、カーボンニュートラルの実現に向けたマイクロ波技術の応用について考察し、その活用方法や課題を論じる力が問われます。

文章の内容

本文章では、二酸化炭素(CO₂)の排出量削減を目的としたマイクロ波技術の活用 について説明しています。

🔹 マイクロ波の特性と利点

  • マイクロ波は電気の波であり、物体の内部までエネルギーを伝えることができる。
  • 物質がマイクロ波を吸収すると、短時間で温度が上昇 するが、その際 CO₂の排出は発生しない。
  • 物質の種類や振動数の違いによって、マイクロ波の吸収の有無を判別できる。

🔹 重要なポイント

  • CO₂排出削減に貢献できる新技術として、マイクロ波の応用が注目されている。
  • 従来の加熱方法(ガスなど)と比較し、エネルギー効率が高く、環境負荷が少ない。
  • マイクロ波技術の特性を理解し、さまざまな分野への応用可能性を探ることが求められる。

図3の内容

図3では、粘土の焼成における消費エネルギー量と二酸化炭素(CO₂)排出量の違いを示しています。

🔹 消費エネルギー量の比較

  • マイクロ波を活用すると、ガスを使用する場合と比べてエネルギー消費量が約6分の1に抑えられる。
  • 加熱方法によって、使用するエネルギー量が大きく異なることが分かる。

🔹 二酸化炭素排出量の比較

  • 焼成する粘土の量を減らした際のCO₂排出量の減少度合いは、マイクロ波の方がガスより約3倍大きい。
  • マイクロ波技術の方が、CO₂排出量削減の効果が高い。

📌 重要なポイント

  • 従来のガスを用いた焼成方法よりも、マイクロ波を活用することで環境負荷を大幅に軽減できる。
  • マイクロ波技術は、エネルギー消費を抑えながらも効率的に加熱できるため、CO₂削減に大きく貢献できる。

図4の内容

図4では、各国の電力発電における化石燃料(石炭・石油・天然ガスなど)への依存度 を示しています。

🔹 日本の化石燃料依存度の特徴

  • 日本の発電における化石燃料依存度は約70%と非常に高い。
  • これはグラフ内の国の中で、資源国であるオーストラリアに次いで2番目に高い数値となっている。

🔹 他国との比較

  • ヨーロッパの国々(フランスやスウェーデンなど)は、化石燃料への依存度が低い傾向にある。
  • 一方で、日本やオーストラリア、アメリカなどは依存度が高い。

📌 重要なポイント

  • 日本の発電は依然として化石燃料に大きく依存しているため、CO₂削減には発電方法の見直しが不可欠である。
  • 再生可能エネルギーの導入拡大や、マイクロ波技術を活用したエネルギー効率の向上が求められる。

問1

この問題は 温度分布の棒グラフを作成する設問です。
横軸には 「加熱点からの物質の位置 x」、縦軸には 「温度 T」 を設定し、適切な棒グラフを描く必要があります。

この問題の解答には、温度データが記載された解答用紙の情報が必要です。
現在(2025年2月時点)、解答用紙は非公表であるため、具体的な解説は行えません。
しかし、基本的には 与えられたデータに基づいて適切なグラフを作成することを心がけましょう。

問2の解説

この設問では、マイクロ波の技術をカーボンニュートラルの取り組みとしてどのように活用できるかを考え、 電子レンジや陶磁器の焼成以外の具体例を挙げることが求められています。
さらに、図3・図4を活用し、日本での利用における課題 についても言及する必要があります。

解答のポイント

①マイクロ波の性質を活かした具体的な活用例を挙げる

  • 食品加工・乾燥技術:食品を効率的に加熱・乾燥させることで、従来の燃料使用を削減。
  • 工業材料の加熱処理:金属・セラミックなどの加工時のエネルギー消費を抑制。
  • 医療分野での応用:低侵襲治療(例:がん治療の高周波加熱)に利用し、医療機器のエネルギー消費を低減。

②日本での活用における課題(図3・図4より)

電力の発電における化石燃料依存度の高さ(図4)
→ 日本は発電において 70%が化石燃料依存。
→ 電力自体の脱炭素化が進まなければ、マイクロ波利用によるCO₂削減効果が限定的になる。

マイクロ波のエネルギー効率(図3)
→ マイクロ波加熱は従来のガス加熱よりエネルギー消費が6分の1に抑えられる。
→ しかし、発電時に化石燃料が使われると、結果的にCO₂排出が増える可能性もある。

問2の解答例

マイクロ波の技術は、食品加工や工業材料の加熱処理に応用できる。例えば、食品の乾燥工程にマイクロ波を用いることで、加熱時間を短縮し、従来の燃料使用を削減できる。また、金属やセラミックの加工でも、燃焼による加熱ではなくマイクロ波を利用することで、エネルギー効率を高めることが可能である。しかし、日本では発電の約70%を化石燃料に依存しており、電力の脱炭素化が進まなければ、マイクロ波技術の環境負荷削減効果は限定的となる。また、エネルギー消費量の削減効果が大きいとはいえ、発電時のCO₂排出量が高ければ、全体としてのカーボンニュートラル実現は難しい。そのため、再生可能エネルギーの導入を進めながら、マイクロ波技術を活用すべきである。

まとめ

都立立川高校普通科の推薦入試では、論理的思考力や資料の読み取り・分析力が重視される 問題が出題されます。
特に、課題文の内容を的確に把握し、自分の考えを論理的に展開する力が求められます。

今回の問題では、「自由」の意味、環境問題に関する技術活用の可能性について考察しました。
こうしたテーマに対して、資料の内容を適切に引用しながら、自分の意見を論理的に述べる力を養うことが重要です。

小論文の対策として、時事問題に関心を持ち、多様な視点で考える習慣を身につけることが大切です。
日頃からニュースや論説を読み、自分なりの意見を持つ練習をしましょう。

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