都立立川高校普通科の推薦入試では、 論理的な思考力や表現力が問われます。
ここでは、2021年度(令和3年度)に出題された小論文問題について、ポイントを押さえながら解説していきます。
まずは下記リンク先から実際の問題に目を通し、自分で解いてみることをおすすめします。
小論文の問題はこちらからご覧ください。
では解説を始めていきます。
目次
第1問
この問題では、「牛を助ける」ために必要なものとして「同情」と「共感」のどちらが重要かについて、自分の考えを述べることが求められています。
設問要求
- 「牛を助ける」ために重要なのは「同情」か「共感」かを選ぶ
- 選んだ理由を課題文の内容に触れながら説明する
- 360字以内で、複数の段落に分けて構成する
- 個人的な体験談は不要
解答のポイント
SNSの普及⇒個の発信力、影響力の増大
一人ひとりが情熱に基づいてできることをやる、眼の前の小さい課題に取り組む
その積み重ねが大きなうねりを産む。変化になる。
「牛を救う」起点は個の「同情」である。
課題文の要点
- 人間の行動には「情熱」と「知的な活動」の両方が必要
- 知的な活動とは、データに基づいた判断力や論理的な思考力のこと
- 孔子の例
孔子は苦しんでいる牛を見て「かわいそうだ」と思い、助けようとした
弟子は「同じように苦しんでいる牛はたくさんいるのだから、一頭だけ助けても意味がない」と反論
- 課題文の主張
社会の枠組みに縛られずに考えることが重要
すべての牛を救うことはできないが、目の前の牛を助けることはできる
解答のポイント
- 「同情」が行動の出発点である
- 目の前の苦しんでいる存在を助けることで、社会をより良くする第一歩となる
- SNSの普及により、個人の発信力が増しており、小さな行動が社会の変化につながる
- 最初は感情的な動機(同情)であっても、やがて社会全体の課題解決につながる可能性がある
解答例
人が行動を起こすためには、「同情」が必要である。なぜなら、目の前の苦しんでいる存在を見て「かわいそうだ」と思う気持ちがなければ、そもそも助けようと考えないからだ。課題文の孔子の例でも、「かわいそう」という感情が牛を助けようという気持ちにつながった。一方で、弟子のように考えると、結局何も行動を起こせない可能性がある。
また、現代ではSNSの普及により、個人の行動が広がりやすい。一人の小さな行動が多くの人に影響を与え、社会全体の変革につながることもある。たとえば、社会的支援活動が個人の「かわいそう」という気持ちから始まり、やがて大きな運動へ発展するケースがある。
したがって、「牛を助ける」ために必要なのは「同情」である。目の前の苦しんでいる存在を助けることが、より良い社会を作る第一歩となるのではないか。(359文字)
第2問
概要
この問題では、グラフを読み取り、n(赤球の個数)と p(同じ色を取り出す確率)の関係を分析することが求められています。
特に、統計的な視点を用いた考察が重要になります。
問1の解説
図1の特徴
- nが増えるとpの値は徐々に1に近づく
- これは、白球の数が赤球の10倍あるため、取り出す球の色に偏りが生じている
考察
- 白球の数が圧倒的に多いため、確率的に白球同士が選ばれる可能性が高い
- 赤球が増えても、全体の割合では白球が多いため、pの変化はなだらかになる
- nが大きくなると、取り出す球がほぼ白球同士になるため、pの値が1に近づく
問1の解答例
● 図1からわかること
図1では、n(赤球の個数)が増えるにつれて、p(同じ色を取り出す確率)の値が徐々に1に近づいていることが分かる。
これは、取り出した2個の球がほぼ確実に同じ色になることを示している。
● nとpの関係の理由
この関係が生じる理由は、白球の数が赤球の10倍あるため、取り出す球の色に偏りが生じるからである。
具体的には、白球が圧倒的に多いため、確率的に白球同士が選ばれる可能性が高くなる。
問2の解説
図2の特徴
- nが増えてもpの値は0.5付近に収束する
- これは、赤球と白球の個数が等しいため、取り出す確率が均衡していることを示している
考察
- 赤球と白球の数が等しい場合、どちらの色の球が選ばれる確率も等しくなる
- そのため、極端な偏りが生じず、pの値は0.5(50%)に近づきやすい
- nが増えても、どちらの色の球を選ぶ確率が変わらないため、pの値は安定する
問2の解答例
● 図2からわかること
図2では、n(赤球の個数)が増えても、p(同じ色を取り出す確率)の値が0.5付近に収束していることが分かる。
これは、取り出した2個の球が同じ色になる確率が約50%であることを示している。
● nとpの関係の理由
この関係が生じる理由は、赤球と白球の個数が等しいため、どちらの色の球が選ばれる確率も等しくなるからである。
具体的には、赤球と白球が同じ数だけ存在するため、2個の球を取り出すとき、赤球同士・白球同士・赤白の組み合わせがほぼ均等に発生する。その結果、pの値は0.5に近づく。
まとめ
2021年度の都立立川高校普通科推薦入試小論文では、論理的な思考力とデータ分析力が問われる問題が出題されました。
- 第1問では、「同情」と「共感」のどちらが行動の出発点として重要かを考える問題でした。ここでは、目の前の困っている存在を助けるための「同情」の重要性を論じました。
- 第2問では、グラフの変化を読み取り、その特徴を説明する問題が出題されました。データの傾向を分析し、数値の変化の理由を論理的に考察することが求められました。
このように、推薦入試の小論文では、与えられた情報を正確に読み取り、自分の考えを論理的に述べる力が必要となります。
日頃から、ニュースや社会問題について考える習慣をつけておくと、よりスムーズに解答できるでしょう。
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