都立墨田川高校の推薦入試小論文では、小論文を通じて文章の読解力や論理的思考力が問われます。
特に、文章を正確に要約し、そこから自分の考えを論理的に述べる力が求められます。
この記事では、2024年度の都立墨田川高校推薦入試で出題された小論文問題について詳しく解説します。
問題を解いた後に解説を読むことで、より深い理解が得られるのでまずは問題に取り組んでみましょう。
小論文の問題はこちらからご覧ください。
では解説を始めていきます。
目次
概要
この小論文では、文章Ⅰ・文章Ⅱをもとに4つの設問に答える形式が採られています。
どちらの文章も「学び」に関する内容であり、すべて記述式の問題となっています。
問1では、文章の内容の一部を正確に要約する力が求められます。
一方、問2~問4では、文章の内容を踏まえながら、自分の考えを論理的に展開する力が試されます。
具体的には、与えられた条件を満たす具体例を考え、その具体例が条件を満たす理由を説明し、自身の経験とそこから得た学びを述べることが求められます。
特に問3・問4では、論理的な思考力が重要になります。
文章の内容と関連付けながら自分の経験を整理し、分かりやすく説明する力が必要とされます。
文章Ⅰの内容
文章Ⅰでは、「問い」を立てることの重要性について述べられています。
抽象的で漠然とした「大きな問い」は答えを導き出すのが難しいため、それを「小さな問い」に分解して考えることが大切だとされています。
「小さな問い」とは、特定のテーマに対して具体的な視点から掘り下げ、その本質の一部を明らかにするものです。
完全な答えにたどり着くことはできなくても、少しずつ核心に迫ることができる点に意義があると説明されています。
文章Ⅱの内容
文章Ⅱでは、難解な分野を学ぶ際の効果的な方法について述べられています。
難しい本を読む際には、最初から順を追って理解しようとするのではなく意味が分からなくても全文を通して読むことが重要だとされています。
初めは内容が理解できなくても、何度も繰り返し読むことで次第に慣れ、全体の構造を把握できるようになるという考え方です。
この方法は「単純接触効果」とも関連しています。
人は同じものに繰り返し触れることでそれに対して親しみを持ち、好意的に感じるようになる傾向があるとされています。
問1
解説
この問題では、「小さな問い」がどのようなものかを説明することが求められています。
傍線部の直後に「とは」があるため、その部分を中心にまとめるとよいでしょう。
また、「AではなくB」という対比の形が使われているため、Aの部分を含めずに記述することが重要です。
解答例
あるものごとに具体的な切り口で迫り、本質を部分的に明らかにすることを目指す問い。(40文字)
問2
解説
この問題では、「『わかる』とは何か。」という大きな問いを、「小さな問い」に置き換えて具体的に考えることが求められています。
文章Ⅰの内容を踏まえて考えることが必要ですが、さらに「資料を参考に述べなさい」とあるため、文章Ⅱの内容も考慮する必要があります。
文章Ⅱでは、「意味が分からなくても繰り返し読むことで理解が深まる」という考え方が述べられているため、これと関連させた問いを設定するとよいでしょう。
解答例
ある難解な本を意味がわからないまま繰り返し読むことで「わかる」ことは何か。
問3
解説
この問題では、「単純接触効果」を実感した経験について述べることが求められています。
Aでは、単純接触効果を感じた具体的な経験を書く必要があります。
実際の経験でも構いませんし、中学生が経験しそうな作り話でも問題ありません。
Bでは、Aの経験が単純接触効果に当てはまる理由を論理的に説明することが求められます。
具体的には、「繰り返し接することで好意を持つようになった」という点を明確にするとよいでしょう。
なお、AとBを合わせて60字以上100字以内でまとめることが条件となっています。
解答例
A
家族で外出する際、父が好きで毎週末に車内でかけていた曲をいつのまにか私も好きになっていたこと
B
毎週末に何度も繰り返し聞き、慣れ親しむことでいつのまにかその曲を好ましく感じるようになっていた
(AとBあわせて93文字)
問4
解説
この問題では、「全体がわかってから各部分がわかった経験」をもとに、次の3つの要素を含めて記述することが求められます。
- 全体がわかってから各部分が理解できた具体的な経験
- その経験が「全体を理解してから細部がわかった」といえる理由
- その経験を通じて学んだこと
経験は実際のものでも、条件を満たしていれば作り話でも構いません。
ただし、中学生として現実的な内容であることが重要です。
記述の条件として、350字以上400字以内にまとめる必要があります。
解答例
私は中学生のころ、英語の長文読解が苦手だった。単語の意味が分からないと内容を理解できないと思い、一文ずつ辞書で調べながら読んでいたが、全体の流れがつかめず苦労していた。そこで、まずは辞書を使わずに全文を何度も通して読むようにした。その結果、大まかな内容が理解できるようになり、文の構造や単語の意味も推測できるようになった。
この経験は、文章Ⅱの「全体に何度も接することで慣れる」という考えと一致している。最初に全体を理解し、その後に細かい部分を学ぶことで、より深く内容を把握できると学んだからだ。例えば、文章全体の流れをつかむことで、前後関係から単語の意味を推測しやすくなり、細かい部分の理解が進んだ。
この経験を通じて、未知の分野を学ぶ際には、細部にとらわれるのではなく、まずは全体の構造を把握することが重要であると学んだ。今後も新しいことに挑戦する際は、全体像を意識しながら学習を進めたい。(400文字)
まとめ
今回の解説では、都立墨田川高校の推薦入試小論文について、各設問のポイントや解答例を詳しく説明しました。
この小論文では、文章の要点を正確に捉える力と、自分の考えを論理的に展開する力が求められます。
小論文の対策としては、日頃から文章を読み、その内容を要約する練習をすることが重要です。
また、自分の経験や考えを整理し、論理的に伝える力を養うことで、より説得力のある文章を書けるようになります。
本番でしっかりと実力を発揮できるよう、ぜひ今回の解説を参考にしながら練習を重ねてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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