都立墨田川高校推薦入試小論文解説・令和5年度(2023年度)

2023年度(令和5年度)都立墨田川高校推薦入試小論文解説

都立墨田川高校の推薦入試小論文では、小論文を通じて文章の読解力や論理的思考力が問われます。
特に、文章を正確に要約し、そこから自分の考えを論理的に述べる力が求められます。

この記事では、2023年度の都立墨田川高校推薦入試で出題された小論文問題について詳しく解説します。
問題を解いた後に解説を読むことで、より深い理解が得られるのでまずは問題に取り組んでみましょう。

小論文の問題はこちらからご覧ください。

では解説を始めていきます。

概要

この小論文では、資料Ⅰ(四コマ漫画)と資料Ⅱ(文章)をもとに、3つの設問に答える形式になっています。
どちらの資料も「勉強の意味や意義」に関する内容であり、すべて記述式の問題です。

  • 問1:四コマ漫画のオチとなる四コマ目のセリフを考え、そのセリフが適切である理由を説明する問題です。
  • 問2:資料Ⅱの筆者の考えを正確に読み取り、それを簡潔に記述する国語の問題です。
  • 問3:資料Ⅰ・資料Ⅱの内容を踏まえ、「なぜ勉強しなければならないのか」について、自分の考えを論理的に述べる小論文の問題です。

注意点として、問3は「勉強するべきかどうか」の賛否を問うものではありません。
「勉強は必要である」という前提のもと、その理由を明確にしながら考察することが求められています。

資料Ⅰの内容

資料Ⅰは、豚の親子を描いた四コマ漫画です。
子豚は勉強をしており、親豚は「将来偉くなって幸せになるために勉強しなさい」と説いています。
それに対して、子豚が何らかの返答をする、という構成になっています。
この四コマ漫画のオチとなるセリフを考えるのが問1の課題です。

資料Ⅱの内容

資料Ⅱでは、勉強の意味と社会で求められる能力について述べられています。
学校の成績が悪くても、大人になって社会で活躍する人はいる。
彼らは、テストの点数や学校の成績では測れない種類の「頭の良さ」を持っており、「社会の中でうまく生きる力=社会的適応能力」に長けている。
これは、「大人の頭の良さ」ともいえる。
社会で成功するにはこの社会的適応能力が重要であり、成績が良いことが絶対的な指標になるわけではない。
しかし、それでも勉強は必要である。
なぜなら、勉強は「頭の基礎トレーニング」であり、将来的にさまざまな状況に対応するための土台となるからだ。

問1

解説

この問題では、四コマ漫画のオチとなる子豚のセリフを考え、それが適切である理由を説明することが求められています。

A:子豚のセリフを考える

  • 親豚は「勉強して偉くなり、幸せになりなさい!」と強い口調で子豚に伝えている。
  • それに対し、単なる反論ではなく、オチとして成立するウィットに富んだセリフを考える必要がある。
  • 四コマ目の親豚のたじろいだ表情や、子豚の汗をかいた様子を参考にすることが重要。

B:Aのセリフが適切である理由を説明する

  • 四コマ漫画のオチとしてふさわしいかどうかを考える。
  • 親豚の反応や漫画の流れに合ったセリフになっているかを意識する。

AとBを合わせて60~100字で記述します。

解答例

A
「今勉強させられてるのがシアワセじゃないんだけど!?」

B
四コマ目の母豚がたじろいでいるので、子豚が親豚に説得力のある反論をしており、四コマ漫画のオチなので真正面からではなくウィットに富んだ反論と考えた(からだ。)

(AとB合わせて99文字)

問2

解説

この問題では、「きみたちが思っている『絶対的なもの』」が何を指しているのかを明確にし、それについて説明することが求められています。

ポイント

  • 「絶対的なもの」=テストの点数や学校の成績である。
  • しかし、資料Ⅱでは「社会的適応性の高さ」がより重要であると述べられている。
  • 「絶対的なもの」と「社会的適応性の高さ」が対比されている点を意識しながら記述することが重要。

解答例

社会に適応できるかを決める要素ではないが頭の基礎トレーニングになるためやっておいたほうがいいもの。(49文字)

問3

解説

この問題では、「なぜ勉強しなければならないのか」について、資料Ⅰ(四コマ漫画)と資料Ⅱ(文章)を踏まえながら論理的に述べることが求められています。

ポイント

  • 「勉強は基礎トレーニングである」と資料Ⅱで述べられているため、勉強が将来どのように役立つのかを考える。
  • 「勉強の目的」について世間一般で言われている考え方(良い学校・良い会社・成功=幸せ)に賛成するか、異なる視点で考えるかを明確にする。
  • 社会で生きていくために勉強がどのように役立つのか、実際にどのような場面で必要になるのかを具体的に述べる。

解答例

勉強は単にテストの点数を上げるためのものではなく、頭の基礎トレーニングとして重要である。社会で生きていく上では、知識を活用して自ら考えて行動する力が求められる。勉強を通じて論理的思考力を鍛え、問題解決能力を身につけることができる。さらに、知識を得ることで視野が広がり、多様な価値観を理解する力も養われる。
 また、勉強は「社会に適応する力」を養う手段でもある。社会では状況に応じた判断力や柔軟な対応力が求められる。例えば、仕事では知識を活かして新しい課題に取り組む力が必要になり、人間関係では適切なコミュニケーションを取る力が求められる。勉強を通じてそうした力を身につけることができる。
 「社会に適応する」とは、単に競争社会を生き抜くことではなく自分なりの自己実現を果たすことである。自分の幸せの定義を決め、それを実現するための基礎トレーニングとして勉強が必要なのだと考える。(390文字)

まとめ

都立墨田川高校の推薦入試小論文では、文章の読解力や論理的思考力が問われます。
今回の問題では、「勉強の意味・意義」について、四コマ漫画と文章をもとに考察し、自分の意見を論理的に述べることが求められました。

小論文対策として、文章を読んで要点を整理する練習や、自分の考えを論理的にまとめる練習を積むことが重要です。
また、日常生活の中で疑問を持ち、自分なりに考えを深める習慣をつけることで、説得力のある文章を書く力を養うことができます。
本番でしっかりと実力を発揮できるよう、今回の解説を参考にしながら対策を進めてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!

都立墨田川高校の推薦入試に合格するなら自校作成専門対策塾 誠学会

都立墨田川高校の推薦入試における小論文は様々なテーマが出題され、対策が難しいです。具体的な対策が知りたい方は、ぜひ誠学会にお問い合わせくださいませ。

都立自校作成校受験対策専門塾・誠学会では、
毎月10名限定で無料受験相談を受け付けています。