2023年度(令和5年度)都立八王子東高校自校作成問題・国語大問5解説

2023年度(令和5年度)都立八王子東高校自校作成問題・国語大問5解説

こんにちは!都立自校作成校受験対策専門塾・誠学会の諏訪孝明です。

この記事では、2023年2月に行われた都立八王子東高校の自校作成問題の国語・鑑賞文(古典を題材にした説明文)の問題を解説します。

自校作成校受験生のうち、
・国語で安定して高得点をとるための読み方・解き方を知りたい
都立高校入試に独特の形式である鑑賞文に苦戦している
・過去問演習の後、自分の読み方・解き方や理解・解釈が合っているのかどうかを確認したい

といった方におススメです。

なお、今回の解説をより理解するために八王子東高校の入試傾向と国語を解くときに気を付けてほしいことをこちらにまとめております。

今回の解説に先んじて読んでおいていただくと理解が深まります。
是非読んでみてください。

また、一度自力で本文を読み設問を解いてから読むことを強くお勧めします。

では、解説をはじめます。

本文

第1段落

~になると~になる

条件と結果の関係を述べています。

ここでは、
・条件:歌が書き留められるようになる
・結果:集団や個人の心情の歴史を辿ることが可能になる

という内容です。
なお、「~になる」は変化を示すのでその点でも重要です。

つまり

直後に要点がきます。

ここでは、
・「歌集」が誕生する
が要点です。
「歌集の誕生」がこの文章のメインテーマであると考えることができます。

歌集の紹介

都立高校入試の鑑賞文では、具体例に相当するものつまり古文や漢文の原文はいったん読み飛ばすことを推奨しています。
都立高校入試では古文や漢文の原文を読解することを求められていないからです。
都立高校入試の国語は時間がタイトです。
自校作成校の入試であればなおさらです。
よって、原文を読み飛ばすことで鑑賞文つまり筆者の意見が記されている箇所の全体像を早く正確に理解することが大切です。

今回の歌集紹介は古文・漢文で記されてはいませんが具体例ではありますのでいったん読み飛ばします。

問1の解説時に必要な箇所について言及します。

第2段落

すべて

例外を許さない表現は重要表現となります。

ここでは、
・万葉集に先行して作成された歌集は例外なくすべて散逸している(現存していない)
ということです。

第3段落

~によって

条件・結果や手段を表します。

ここでは、
・歌が記されるようになる⇒歌は個人の心情を表現するものになる⇒個人の心情を表現した歌を集める和歌が生まれた

ということです。

第1段落でも述べられていた「歌集」「個人の心情」がこの文章のキーワードだろうという判断が可能です。

第4段落

~なのだろうか

問いかけはその箇所の「テーマ」を示します。
「テーマ」とは、文章のその箇所が何について述べているのかということです。

ここでは、
・漢字との出逢いによる歌の変化は日本以外の国でも起こったのか
ということです。

そして、直後に答えが書いてあります。
世界中のどこでも起こり得るとのことです。

~ではなかった

否定語は現代文の読解において非常に重要です。
なぜなら、「Aではない」と言われたら「じゃあ何なのか」と考えながら読むことになるからです。

ここでは、「個人の心情を表現するものではなかった」とあります。
この文章では、これまで「和歌は個人の心情を表現するもの」とされていましたね。
したがって、「個人の心情を表現するものではなかった」⇒「個人の心情を表現するものになった」という変化について読み取らなければいけないことがわかります。

もたらした

因果関係を表しています。

ここでは、
・漢字が定着した⇒歌が個人の心情を表現するものになった
という因果関係ですね。

変えた

変化を示す語は重要です。

ここでは、
・歌は個人の心情を表現するものではなかった⇒個人の心情を表現するものになった
という変化を表しています。
「もたらした」で言及した因果関係と同じですね。

こそ

強調表現です。
筆者が何かを強調している箇所なので、読解をするうえで重要です。

ここでは、
・詩文を書く=国家を作る
という関係が強調されています。

第5段落

具体例を紹介している段落です。

第6段落

まるで~のようだ

比喩表現です。

ここでは、文学至上主義宣言⇒詩文を書くことはすなわち国家を作ることなので非常に重要であることを比喩表現で私たちに伝えています。

こそ

強調表現です。

ここでは、
・よき文章がよき国家を作る
という文章と国家の関係が再度強調されています。

べき

筆者の主張があることを示す文末です。

ここでは、
・漢字によって自らの歴史を語る
ことの重要性を伝えています。

こそ/重要

どちらも強調表現です。

ここでは、
・漢字によって自らの歴史を語ることができるかどうかが東アジア漢字文化圏の一員になるためには大切だった
ということを説明しています。

第7段落

もちろん+しかし+主張

これは読解において重要な公式です。

ここでは、
・後進地域は先進地域の発展を短い期間で体験できる
という主張です。

東アジア漢字文化圏において先進地域は中国、後進地域は日本を指します。
中国が達成した漢字の普及を日本が短期間で達成できたということを述べています。

といえよう

「~と言うことができるぞ」という筆者の主張を示します。

ここでは、
・漢字の普及により和歌が個人の心情を表現するものになった
ということを主張しています。

~によって

条件・結果や手段を表します。

ここでは
・『文選』を学ぶ⇒歌は個人の心情を表現するものになった
という条件・結果を説明しています。

AなくしてBなし

「BにはAが必要だ」というAとBの関係を強調している表現です。

ここでは、
・『万葉集』の誕生には『文選』(を学ぶこと)が必要だった
という上述の条件・結果を再度強調しています。

設問

問1

『万葉集』以前に成立した歌集についての問題です。

ア:「別々に成立した」⇒×(同一のものかは意見が分かれる⇒同一のものである可能性がある)
イ:「自分の作品を」⇒×(作者(の名)が記されていた⇒自分の作品のみであればわざわざ作者の名は記さないはず)
ウ:◯
エ:『万葉集』が最も参考とした資料⇒×(そういった事実は書いていない)

問2

第4段落で記された、
「漢字が定着した⇒歌が漢字で記されるようになった⇒歌が個人の心情を表現するものになった⇒それを集めた歌集が生まれた」という一連の流れを理解しているかどうかを問う問題です。

ア:「一族という集団での心情」⇒×(上記の流れにない)
イ:「漢字との出会いによって集団の歴史を表現するようになり」⇒×(上記の流れにない)
ウ:「和歌の歴史を振り返るための資料」⇒×(上記の流れにない)
エ:◯

問3

理想:よい文章がよい国をつくる

これに該当する箇所を、まずは訳から探します。

すると、「文章を書き、それを残すということは、国を治めるうえで、欠くべからざる重大なる事象」という箇所が見つかります。
国を治める=国を運営する≒国造りを行う
ということですね。

この訳に該当する原文を探します。
1行目なので探しやすいですね。
原文の1行目を書けばOKです。

「文章は経国の大業にして、不朽の盛事なり。」
が正解となります。

問4

言葉の意味を答える問題です。

「過言ではない」⇒「言い過ぎではない」⇒「誇張ではない」
となるので答えはアです。

問5

第7段落の内容を正しく理解しているかどうかを問う問題です。

後進地域だった日本は『文選』を学ぶことで漢字を学び普及させ、和歌で個人の心情を表現するようになって和歌集『万葉集』を成立させました。

このことを理解しているかどうかが問われています。

ア:「歌さえも誕生していなかった」⇒×(歌の誕生への言及はない)
イ:◯
ウ:「歴史を記録する」⇒×(『万葉集』は和歌集です)
エ:「成立まで三千年かかった『文選』」⇒×(三千年かかったのは漢字の普及です)

今回の解説は以上です。

最後までお読みくださりありがとうございました。

2023年度都立八王子東高校の国語のその他の大問の解説記事はこちらでございます。

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