都立八王子東高校推薦入試小論文解説・令和5年度(2023年度)

2023年度(令和5年度)都立八王子東高校推薦入試小論文解説

都立八王子東高校の推薦入試小論文第1問では、社会や政治などの時事的テーマを題材に、資料の読み取りと市のデータから受験生が自らの考えを論理的に述べる能力を問われます。

第2問では文章を要約し、それについての考えを述べる問題が出題されます。

この記事では、2023年度都立八王子東高校の推薦入試で実施された小論文第1問・第2問を解説します。

必ず問題を解いてから解説を読みましょう。問題は以下から入手ください。

小論文の問題はこちらからご覧ください。

では解説を始めていきます。

第1問

概要

この問題では資料1・資料2を基にエシカル消費の現状を分析し、その理由や背景を述べることが求められています。
資料を正確に読み取り、論理的に文章を構成する力が試されます。

資料1から読み取れる傾向

資料1を見ると、多くの人がエシカル消費に対して肯定的なイメージを持っていることが分かります。
「これからの時代に必要」という回答が全体の過半数を占めており、「前向き」「優しい」「先進的」「まじめ」「知的」といった良いイメージも5~30%程度の割合で挙げられています。
また、この傾向は年齢や性別による多少の差はあるものの、すべての年代・性別で共通して見られる点が特徴的です。

資料2から読み取れる傾向

資料2を見ると、エシカル消費を実践している人は非常に少ないことが分かります。
「よく実践している」と回答した人は全体の2.4%にとどまり、年齢・性別ごとに見ても0.9~3.3%と低い割合です。
また、「時々実践している」人を合わせても全体の36%で、これも年齢や性別による差がほとんどなく、全体として実践があまり進んでいない状況が見て取れます。

資料1・資料2を合わせた読み取り

資料1によれば、人々はエシカル消費に対して「良い」「必要」といった肯定的なイメージを持っています。
しかし、資料2からは、それにもかかわらずエシカル消費を実践している人が非常に少ないことが分かります。
このことから、エシカル消費に対するイメージと実践との間に大きなギャップがあることが読み取れます。

理由・背景

資料1によると、エシカル消費に対して「よく分からない」「難しい」と感じている人が40%前後いることが分かります。
これは、エシカル消費が実践されない最大の理由の一つと考えられます。
たとえエシカル消費が良いものだと思っていても具体的に何をどうすればよいのか分からず、実践に結びつかない人が多いと推測されます。

さらに、「値段が高い」「面倒」というイメージも、人々がエシカル消費を実践しない要因として挙げられます。
環境に配慮した商品は一般の商品より割高であることが多く、こうした価格差が購入を躊躇させている可能性があります。
また、エシカル消費に関連する商品の購入機会が限られていることも、実践を妨げる一因と考えられます。

解答例

資料1によれば、エシカル消費に対して「これからの時代に必要」と考える人が全体の過半数を超え、「前向き」「優しい」などの肯定的なイメージを持つ人も多いことが分かります。しかし、資料2では「よく実践している」人は全体の2.4%にとどまり、実践が進んでいないことが分かります。その理由として、資料1にある「よく分からない」「難しい」というイメージが挙げられます。エシカル消費を良いものと認識していても、具体的に何をすればよいか分からずに行動に移せない人が多いと考えられます。また、エシカル消費となる商品の購入機会が限られることや環境にやさしい商品が普通の商品より割高であることが多いのも原因と推測されます。(300文字)

第2問

概要

この問題では、「観察すること」をテーマに文章Aと文章Bを要約し、それを踏まえた自分の考えを具体的な例とともに500字以内で述べることが求められています。
構成は以下の通りです。

  1. 第1段落:文章Aの要約(観察の重要性や方法についての主張)
  2. 第2段落:文章Bの要約(観察から生まれる問いや仮説の重要性についての主張)
  3. 第3~第4段落:文章A・Bを踏まえた自分の考えと、それを裏付ける具体例

この構成に基づき、文章AとBの要点を正確に捉え、自分の意見を論理的に展開することが大切です。
また、具体例を盛り込むことで説得力のある文章に仕上げることが求められます。

文章Aの要約

観察は、ただ見るだけではなく、理論立てて考えながら行うことが重要だと述べられています。
純粋な目で観察することで、生き物の体の構造などを深く理解することができます。
また、観察対象にきちんと向き合い、丁寧に記録する姿勢が求められます。
さらに、観察が単に教科書に書いてあることなど既存の知識の確認作業にとどまってはならず、新たな発見や理解を得ることを目指すべきだとされています。

文章Bの要約

優れた観察からは問いが生まれ、その問いが新たな仮説へとつながります。
最初は誰にでも思いつくようなシンプルな問いで構いませんが、その仮説を基に新しい観察を行うことで、理解が深まります。
このプロセスを繰り返すことで、観察対象の解像度が上がり、問いが洗練されていきます。
その結果、世紀の発見につながるような大きな成果が生まれることもあると述べられています。

考え

文章Aにあるように、考えながら観察することはとても重要だと思います。
観察を通じて新しい気づきや発見が得られる可能性があるからです。
また、文章Bで述べられているように、観察から問いが生まれ、その問いを基に仮説を立てて新たな観察を始めるというプロセスを繰り返すことで、理解が深まり、より洗練された発見へとつながります。
これまで科学が発展してきたのも、このような観察と探究の積み重ねによるものだと考えます。
私もこのプロセスを実践し、小さな発見を重ねることで、将来的には科学の発展に寄与していきたいです。

解答例

 文章Aでは、観察はただ見るだけでなく、考えながら丁寧に行うことが重要だと述べられています。観察対象に向き合い、記録を重ねることで、その本質を理解することができます。また、観察が既存の知識の確認作業に留まってはならず、新しい発見や気づきを得ることを目指すべきだとされています。
 一方、文章Bでは、観察から問いが生まれ、その問いを基に仮説を立てて次の観察を行うというプロセスが大切だと述べられています。このプロセスを繰り返すことで、観察対象の解像度が高まり、問いが洗練されるとともに、世紀の発見につながる可能性があると強調されています。
 私は、文章Aの「考えながら観察する」という姿勢と、文章Bの「観察から問いを生み出すプロセス」の両方が重要だと考えます。例えば、理科の授業で植物の観察をする際、ただ記録を取るだけでなく、「なぜこの形なのか」「どのような役割を果たしているのか」と問いを立てることで、より深い理解が得られます。その問いから仮説を立て、新たな観察を重ねていくことが重要です。このような観察の姿勢を実践し、小さな発見を積み重ねることで、将来的には科学の発展に貢献したいと考えています。(499文字)

都立八王子東高校の推薦入試に合格するなら自校作成専門対策塾 誠学会

都立八王子東高校の推薦入試における小論文は様々なテーマが出題され、対策が難しいです。具体的な対策が知りたい方は、ぜひ誠学会にお問い合わせくださいませ。

都立自校作成校受験対策専門塾・誠学会では、
毎月10名限定で無料受験相談を受け付けています。