都立八王子東高校推薦入試小論文解説・令和4年度(2022年度)

2022年度(令和4年度)都立八王子東高校推薦入試小論文解説

都立八王子東高校の推薦入試小論文第1問では、社会や政治などの時事的テーマを題材に、資料の読み取りと市のデータから受験生が自らの考えを論理的に述べる能力を問われます。

第2問では文章を要約し、それについての考えを述べる問題が出題されます。

この記事では、2022年度都立八王子東高校の推薦入試で実施された小論文第1問・第2問を解説します。

必ず問題を解いてから解説を読みましょう。問題は以下から入手ください。

小論文の問題はこちらからご覧ください。

では解説を始めていきます。

第1問

概要

第1問では、資料1・資料2から日本の選挙投票率における現状を読み取り、資料3を活用して投票率が低い理由を分析し、改善策を提案することが求められます。
記述は300字以内でまとめる必要があります。

資料1の読み取り

衆議院議員総選挙の投票率は第1回では90%を超える高水準を記録していましたが、その後は低下傾向にあります。
近年では50%台にまで落ち込み、長期的な投票率の低下が顕著です。

資料2の読み取り

衆議院議員総選挙の投票率は、60代・70代で特に高い一方、若年層ほど低下する傾向が顕著です。
10代・20代・30代の投票率は50%を下回っています。

資料3の読み取り

投票率が低い理由として、「政党や候補者の違いがよく分からない」「選挙では政治はよくならない」「私一人が投票しても変わらない」といった無力感が挙げられます。
これらにより、「適当な候補者や政党がない」と感じる人が多く、選挙への関心の低下につながっています。
また、期日前投票の制度があるにもかかわらず、仕事を理由に選挙を棄権する人も少なくありません。

日本における選挙投票率の課題

日本の選挙では、投票率全体が長期的に低下しており、特に若年層の投票率が著しく低いことが深刻な課題となっています。

その課題を改善するための改善策

候補者や政党の違いを分かりやすく伝える情報提供を充実させ、有権者が選択しやすい環境を整えることが重要です。
また、若年層への啓発活動を通じて、選挙や政治参加の意義を伝え、関心を高めることが求められます。
さらに、ネット投票の導入や投票手続きの利便性向上を図り、誰もが投票しやすい仕組みを検討すべきです。

解答例

資料1によれば、衆議院議員総選挙の投票率は長期的に低下しており、導入直後に90%を超えていた投票率が近年では50%台に落ち込んでいます。資料2では、60代・70代の投票率が高い一方で、若い世代になるほど投票率が低くなることが分かります。資料3から、投票率が低い理由として、A・D・E・Iなどの無関心さがBのような結果を招き、Cが理由の棄権も目立ちます。この課題を改善するには、候補者や政党の違いを分かりやすく伝える情報提供の充実が必要です。また、若年層への啓発活動を通じて政治参加の意識を高めるとともに、ネット投票の導入や投票手続きの利便性向上を進めることで、投票率を上げることができると考えます。(299文字)

第2問

概要

第2問では、「知識」と「教養」をテーマに、文章Aと文章Bの内容を要約し、それを踏まえて「教養を深めること」について自分の考えを述べることが求められています。
文章Aでは、知識と教養の違いや教養の重要性が述べられており、文章Bでは、知識を定着させるために教養が必要であるという主張が展開されています。
これらの内容を正確に要約した上で、教養を深めることの意義について具体例を交えながら論理的に考察します。
全体を三段落または四段落で構成し、500字以内にまとめることが求められます。

文章Aの要約

文章Aでは、「知識」と「教養」の違いが述べられています。
知識とは、過去の歴史や世界の現状を知ることを指します。
一方、教養とは、それらの知識を数字やファクト、ロジックを用いて裏付ける力のことです。
教養を身につけることで、さまざまな問題への理解が深まり、経験を通じて賢くなることができます。
さらに、想定外の出来事に直面した際には冷静に対応し、あふれる情報や議論の中から何が真実であるかを見極め、的確に判断する力を養うことができると述べられています。

文章Bの要約

文章Bでは、知識を「花」、教養を「根」に例え、それぞれの関係性について述べられています。
知識が定着するには土台となる教養が必要であり、知識だけでは定着せず広がりも生まれません。
特に、欧米から知識だけを取り入れても、日本で根付かせることは難しいと指摘されています。
教養は、知識を支える土台であり、自前の知識を深めたり広げたりするためには不可欠なものであるとされています。

知識と教養の対比

知識とは、過去の歴史や世界の現状などの事実を知ることであり、情報として表面的に得られるものです。
一方、教養は、その知識を深く理解し、数字やファクト、ロジックを用いて裏付ける力です。
知識が「花」であるとすれば、教養はその「根」にあたり、知識を定着させ広げていくために必要不可欠なものといえます。
知識だけでは限られた範囲で終わる可能性が高い一方、教養を持つことで知識を生かし、新たな発見や価値を生み出すことができます。

「教養を深める」ことについての考え

私は、教養を深めることは知識を活用し、新しい価値を生み出すために必要不可欠だと考えます。
教養があれば、得た知識をさまざまな観点から分析し、現代の問題に応用することができます。
例えば、歴史を学ぶ際、単に出来事を覚えるだけではなく、その背景にある社会的・経済的な要因を考えることで、現代社会に通じる課題や解決策を見出すことができます。

また、教養は他者と建設的な議論を行うためにも重要です。
多様な価値観や意見に触れ、それを理解した上で自分の意見を形成する力は、コミュニケーションや問題解決の場で大いに役立ちます。
さらに、教養を深めることによって物事を多角的に捉える視点が養われ、新しい発想や創造性が育まれます。

教養を深める努力を続けることは、個人の成長につながるだけでなく、社会全体に対しても貢献できる可能性を広げるものだと信じています。

解答例

 文章Aでは、知識とは歴史や世界の現状を知ることであり、教養とはそれを数字やファクト、ロジックで裏付ける力だと述べられています。教養を身につけることでさまざまな問題を深く理解し、想定外の事態に冷静に対応できる力が養われます。また、多くの情報が飛び交う中で真実を見極め、的確に判断する力を持つことができるとされています。
 文章Bでは、知識を「花」、教養を「根」に例えています。知識が定着し広がるためには、教養という土台が必要であり、教養がなければ知識は応用力を持たず広がりを欠くと述べられています。さらに、教養は自前の知識を深め、豊かな発想を生むために欠かせない要素であるとされています。
 私は、教養を深めることは得た知識を応用し、新しい発見や価値を生み出すために重要だと考えます。例えば、学校で学ぶ歴史を単なる出来事として捉えずに、その背景にある文化的・経済的要因を教養として学ぶことで、現代社会の課題への理解を深められます。また、教養を持つことで他者の多様な価値観に触れ、それを尊重した上で自分の意見を形成できます。こうした教養を深める努力を続けることで、社会に貢献できる人間になりたいです。(499文字)

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