都立八王子東高校推薦入試小論文解説・令和6年度(2024年度)

2024年度(令和6年度)都立八王子東高校推薦入試小論文解説

2024年度の都立八王子東高校の推薦入試小論文大問1では、社会や政治などの時事的テーマを題材に、資料の読み取りと市のデータから受験生が自らの考えを論理的に述べる能力を問われます。

大問2では一転して、文章を要約し、それについての考えを述べる問題が出題されます。

必ず問題を解いてから解説を読みましょう。問題は以下から入手ください。

小論文の問題はこちらからご覧ください。

では解説を始めていきます。

第1問

少子高齢化が進む日本では、総人口の減少とともに、15~64歳の現役世代である労働力人口の減少が深刻な社会問題となっています。
これは経済活動の縮小や社会保障の負担増加を招く可能性があり、早急な対策が必要です。
この小論文では、資料1と資料2をもとに、総人口や労働力人口の変化を具体的に分析し、それらが引き起こす課題を明らかにします。
そして、今後の労働力を確保するための解決策を提案します。

資料1の読み取り

総人口の変化

資料1を見ると、日本の総人口は1980年から2005年にかけて増加しましたが、2005年をピークに減少へと転じています。
さらに、2025年以降の予測では、減少速度が加速していくことが示されています。
この傾向は、日本がすでに「人口減少社会」に突入しており、持続的な社会を維持する上で困難な局面を迎えていることを意味します。

総人口を構成する各年齢層の変化

65歳以上の高齢者

1980年から2025年にかけて、65歳以上の高齢者は一貫して増加しています。
特に2025年以降では、高齢者の割合が総人口の中で圧倒的に大きな比率を占めるようになります。
この増加は「超高齢社会」の到来を象徴しており、医療・福祉分野での負担増大や、年金制度の維持といった課題が浮き彫りになります。

15~64歳の現役世代

15~64歳の労働力人口は、1980年以降減少傾向にあり、2025年には大幅な減少が予測されています。
この現役世代の減少は、労働力の供給不足をもたらし、経済の縮小を引き起こす可能性があります。

14歳以下の若年層

14歳以下の人口は減少傾向が続いており、少子化が深刻であることが分かります。
これは、将来の労働力人口を確保する上で大きな障害となります。

労働力人口の変化

資料1から読み取るよう指示がありますが、資料2の「総数」の欄から読み取ったほうが正確な値の推移を読み取りやすくなっています。
小論文で言及する際は、指示どおり資料1から読み取ったことにしましょう。

労働力人口全体の人数は、

  • 1980年から2000年にかけて増加
  • 2000年(6,766万人)から2015年(6,625万人)にかけては減少
  • そこから2020年には6,902万人に増加し、2005年(6,651万人)を上回る水準

となっています。

この変化は、少子高齢化が進行する中で異例とも言える動向であり、社会全体で労働力人口を増やすための取り組みが一定の成果を上げたことを示している可能性があります。

資料2の読み取り

労働力人口の内訳の変化

男性の労働力人口

男性の労働力人口は、1980年から2020年まで概ね横ばいですが、近年は若干の減少傾向が見られます。
1980年には3,465万人だった男性労働力人口は、2020年には3,840万人と微増していますが、15~64歳(年齢層B)の割合は減少しています。

男性の年齢層A(65歳以上)の割合が1980年には5.3%だったのに対し、2020年には14.3%に増加しており、高齢男性の労働参加が進んでいることが分かります。

女性の労働力人口

女性の労働力人口は、1980年の2,185万人から2020年の3,063万人へと着実に増加しています。
この間に、女性の社会進出が進み、育児支援や雇用形態の多様化が女性の働きやすさを後押ししてきたことが要因と考えられます。
女性の年齢層A(65歳以上)の割合も、1980年の4.3%から2020年の12.1%へと増加しており、高齢女性の労働参加が広がっています。

労働力人口の多様化

資料2からは、労働力人口が単なる現役世代に限らず、高齢者や女性が占める割合が増加し、全体の労働力構成が多様化していることが分かります。
この変化には以下のポイントが挙げられます。

  • 高齢者層の活用:定年延長や高齢者雇用促進の政策が進み、高齢者が再雇用や新しい職場で活躍する場が広がっています。
  • 女性の社会進出:育児支援制度や短時間勤務制度の普及、女性管理職の増加などが女性の労働力参加を後押ししています。

小論文の構成例

序論(50~70文字)

資料1と資料2を基に、総人口や労働力人口の変化を分析し、その背景や特徴を明確にする。
さらに、これらの課題に対応するための解決策を述べることをテーマとして明示する。

本論(170~200文字)

現状の課題を明らかにし、労働力を確保するための具体的な解決策を提示する。

結論(50~70文字)

課題解決に向けた提案を要約し、社会全体で取り組むべき必要性を訴える。

解答例

資料1によると日本の総人口は2005年をピークに減少し、特に15~64歳の現役世代が大幅に減少しています。65歳以上の高齢者の割合は増加し、少子高齢化が顕著です。また、労働力人口も2005年以降減少しましたが、2020年には回復し、2005年の水準を上回りました。資料2を見ると、女性の労働力人口が増加し、労働力全体の増加に寄与しています。また、高齢者の労働参加率も上昇しており、多様な層が労働力を支えています。しかし、現役世代の減少が進む中、さらなる対策が必要です。女性や高齢者が働きやすい環境の整備に加え、外国人労働者の受け入れやAI技術の活用などを推進することで労働力を確保すべきです。(296文字)

第1問まとめ

今回の小論文では、資料1と資料2を基に、日本の総人口や労働力人口の変化を読み取り、少子高齢化が進む中での課題とその解決策を考察しました。

これらの課題を解決するには、女性や高齢者が働きやすい環境整備が不可欠です。
また、外国人労働者の受け入れ拡大やAI技術の活用など、新しい働き手を確保する取り組みが求められます。
これらの対策を進めることで、持続可能な社会を構築し、少子高齢化時代の労働力不足を克服できる可能性があります。

これまでの内容を通じて、論理的に資料を分析し、自分の考えを明確に表現する力が重要であることを再確認できたと思います。この考え方を活かし、説得力のある小論文を書く力をさらに磨いていきましょう!

第2問

概要

この問題では、文章Aと文章Bを読み、それぞれの内容を要約した上で、自分の考えを500字以内で述べることが求められています。
文章Aと文章Bの主張を正確に読み取り、それを基にして自分の考えを展開することが重要です。
構成は以下の通りです。

  • 第1段落:文章Aの要約
  • 第2段落:文章Bの要約
  • 第3段落(+第4段落):自分の考え(具体例を含む)

第1段落:文章Aの要約

文章Aでは、「まず自分で考えること」が創造的・独創的な発想を生むための基本であると述べられています。
新しい方法や発見は、自分で考える姿勢から生まれ、それは楽しく刺激的なものでもあります。
特に、同じように創造的な人々と協力し合う環境で作業することで、その効果がより高まることが指摘されています。

要点

  • 自分で考えることが大切。
  • 創造的な環境や人々との協力が発想を高める。

第2段落:文章Bの要約

文章Bでは、「創造的な発想は、常識を疑うことから始まる」と述べられています。
自分の思い込みや古い常識に気づくのは難しいため、自分と異なる考えを持つ人々との対話が必要です。
たとえ似たような環境にいる仲間同士であっても、対話を通じて意外な気づきや発見が得られるとされています。

要点

  • 常識や思い込みを疑う態度が必要。
  • 異なる意見や視点を持つ他者との対話が発見を促す。

第3段落(+第4段落):文章Aや文章Bを踏まえた自分の考えの例

文章AとBのどちらも重要だと考えますが、私のようにまだ経験や知識が不足している中学生の場合、まずは基礎となる知識や理論をしっかり学ぶことが必要だと思います。

その上で、自分の頭で常識を疑いながら新しい発想を試みるべきです。

また、文章Bの指摘のように、異なる意見を持つ仲間との対話を通じて、自分では気づけない視点を得ることも大切です。

例えば、学校の授業や部活動で仲間と意見交換を重ねることで、思いがけない発見や新しい考え方が生まれることを実感しています。

このように基礎を学びながら、対話を通じて創造的な発想を磨いていきたいです。

解答例

 文章Aでは、自分で考えることが創造的・独創的な発想を生むと述べられています。新しい発見や方法は自分で考える姿勢から生まれ、それは楽しく刺激的なものであり、特に創造的な人々が集まる環境ではその効果が高まるとしています。
 一方、文章Bでは、創造的な発想は常識を疑うことから始まると述べられています。そのためには自分の思い込みや古い常識に気づく必要がありますが、それは難しいため、異なる意見を持つ人々との対話が重要だと指摘されています。同じ環境にいる仲間同士であっても、対話を通じて新しい気づきが得られると述べられています。
 私は、文章AとBの両方が重要だと考えます。ただし、まだ知識や経験が不足している中学生の私にとって、まずは基礎的な知識や先行事例を学ぶことが欠かせないと感じます。その上で、文章Bの指摘のように、常識を疑う姿勢を持ち、仲間との対話を通じて新たな視点を得たいと思います。例えば、授業や部活動での意見交換を重ねることで、これまでにない発見や新しい考え方が生まれることを実感しています。こうした学びの積み重ねを大切にしながら、柔軟で創造的な発想ができる人間になりたいです。

第2問まとめ

この問題では、文章AとBの要点を正確に押さえ、自分の考えを論理的に展開する力が試されます。
「まずは自分で考える」という姿勢と「他者との対話を重視する」という2つの主張に対する自分の意見を論理的で説得力のあるかたちで述べることが小論文を完成させる鍵です。
考えるだけでなく、実際の生活や学習で役立つ具体例を盛り込むことで、自分の考えを深く伝えることができるでしょう。

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