2023年度(令和5年度)都立八王子東高校自校作成問題・国語大問3解説

2023年度(令和5年度)都立八王子東高校自校作成問題・国語大問3解説

こんにちは!都立自校作成校受験対策専門塾・誠学会の諏訪孝明です。

この記事では、2023年2月に行われた都立八王子東高校の自校作成問題の国語・物語文(小説)の問題を解説します。

自校作成校受験生のうち、
・国語で安定して高得点をとるための読み方・解き方を知りたい
・物語文が苦手
・過去問演習の後、自分の読み方・解き方や理解・解釈が合っているのかどうかを確認したい

といった方におススメです。

なお、今回の解説をより理解するために八王子東高校の入試傾向と国語を解くときに気を付けてほしいことをこちらにまとめております。

今回の解説に先んじて読んでおいていただくと理解が深まります。
是非読んでみてください。

また、一度自力で本文を読み設問を解いてから読むことを強くお勧めします。

では、解説をはじめます。

目次

本文

前文

主人公が陸上部の練習に参加している場面であることがわかります。

また、「自主的に」と書いてあるので主人公が陸上部員ではないことがわかります。

主人公は「陸上部の部員ではないのに陸上部の部活動に参加している」という特殊な状況におかれています。

蝉の声⇒まだ、そんな季節ではない/この季節にしては強い日差し

夏になる前、5・6月頃の話と推察できます。

励まされて少しだけ力が湧いた

主人公が前向きに頑張っている様子が伝わってきます。

棒になったようだ

比喩表現です。
ここでは、疲労度の大きさを表しています。

気になるのは、フォーム/あまり綺麗な走り方ではない

主人公の走りに対する先生・コーチの評価です。

がっかりする⇒今日は途中で崩れてしまっていたようだ

主人公が先生・コーチの評価に対してがっかりしています。

フォームには自信があったのかもしれません。

埃を払った⇒うまく落とせない

主人公が心の中のモヤモヤをなかなか振り払えていない様子が伝わります。

虚勢を張る

疲労困憊ですが、まだ走れると強がったようです。

とても楽しかった/走り終わった後の心地よい高揚感

主人公は走るのを楽しんだようです。

片方の頬がぴくんと引きつった/舐めてるわね

「とても楽しかった」という主人公の発言に、後藤田コーチが不快感を示しました。

高揚感が一気に降下していく

後藤田コーチに不快感を示された主人公の反応です。

「辛い練習」⇔「楽しかった」

対義語があれば注意しましょう。

陸上部の部員は練習を「辛い」と感じるまで頑張っている⇔主人公は「楽しい」と感じる程度しか走っていない

この対比が後藤田コーチを不快にしたようです。

自分は並の人間じゃない/勘違い、驕り

主人公はこのように考えてしまっていたようです。

後藤田コーチは一目で見抜いてしまった

主人公の勘違い・驕りを見抜いた後藤田コーチが主人公に厳しい言葉をかけたということですね。

「練習が地味・ガラガラ」⇔「沿道に人が溢れ、延々と生中継で放送される」

ここにも対比構造がありますね。

陸上競技と駅伝・マラソンの扱いの違いを後藤田コーチが語っています。

勘違い⇒陸上じゃなくて駅伝が好き

主人公に対し、「きみは陸上ではなく駅伝、つまりチヤホヤされて目立つのが好きなんでしょう?」と突き放しています。

「世界を視野に入れた活躍」⇔「沿道の人に応援してもらう」「マスコミに注目される」

後藤田コーチは世界レベルの志を部員に求めているようです。

「ただ目立ちたいだけの人」には来て欲しくない(部の練習に参加して欲しくない)とのことです。

頬が熱い⇒正体の分からない感情

後藤田コーチの発言に対する主人公の反応です。

厳しい言葉をかけられていますので、反発するかと思いきやそんなことはなさそうです。

何だったんだろう?/一体、何だったのだろう?

後藤田コーチの発言に対し、主人公は自身が駅伝をやりたいと思った動機・きっかけを考えるという反応を示しました。

同い年の女の子の走りに圧倒された/焦がれるような思い/強くなりたい

そして、主人公はきっかけを思い出して

「強くなりたい!」の「!」に主人公の想いの強さ、声の大きさが表れていますね。

コーチも弾かれたように目を見開いた

この主人公の反応に対し、厳しい言葉をかけたコーチも驚いたようです。

なお、「目を見開いた」には「感心した」という意味もありますのでその可能性を考慮しながら読むことになります。

好き/大好き/嘘ではなかった/また走りたくなっている

主人公の走ることに対する想いがさらに強調されています。

溜息の音

通常、「溜息」というのはマイナスの感情を表す行動です。

しかし、今回は違います。

そうだとわかるのは先を読んでからです。

顔が強張っている

これも通常はマイナスの感情を表す行動です。

しかし、今回は違います。

先に進みましょう。

凄い/おめでとう

畑谷さんの発言です。

何に対してのリアクションかというと、

「一ヶ月遅い始動になる」という後藤田コーチの発言に対してのものです。

「一ヶ月遅い始動になる」ということは、始動することを認められた、つまり主人公が今後の練習参加を許可されたということです。

これに対しての「凄い」「おめでとう」ということです。

顔を覆って、笑い出したいのを堪えている

畑谷さんの様子です。

畑谷さんの顔が強張っている理由が判明しましたね。

設問

問1

主人公ががっかりした理由を答える問題です。

主人公は、「自分のフォームが崩れてしまっていた」ことに対してがっかりしています。

ア:批判された⇒×
イ:やる気のなさを指摘された⇒×
ウ:体力の不足を感じた⇒×
エ:フォームを知っていたはずなのに⇒◯

問2

「舐めてるわね」と言ったときの後藤田コーチの心情を記述する問題です。

・「辛い」⇔「楽しい」の対比に注目する
・舐めてるわねという発言+その後主人公の勘違いを咎めている⇒腹を立てていると判断できる

ということで、解答例は以下のようになります。

陸上部の辛い練習を経験せずに駅伝を走るのが楽しいと言った倉本歩に対して腹立たしさを感じている。

47文字です。

問3

溜息をついたときの後藤田コーチの心情を答える問題です。
本文解説で述べた通り、ふつう溜息はマイナスの感情を示す行動です。
しかし、今回が違います。
なぜならば、この直後に後藤田コーチが主人公の入部を認めているからです。

ア:あきれかえっている⇒×
イ:怒りを感じている⇒×
ウ:入部を認めようと思っている⇒◯
エ:反省している⇒×

問4

顔が強張っている畑谷さんの様子を答える問題です。
畑谷さんは笑い出したいのを堪えているのでしたね。

ア:不満をにじませている⇒×
イ:喜びをあらわにするのを我慢している⇒◯
ウ:全員が予想した通り⇒×(部員たちの予想への言及はありません)
エ:ねたましく思っている⇒×

問5

本文全体の表現を問う問題です。

ア:「比喩表現」⇒本文中にありました。変化する心情を分かりやすく表現していたかというと、そこまでの存在感はなかったような気がします⇒△
イ:「反感を暗示」⇒×
ウ:「時系列に従って」⇒×(中学時代の回想シーンがありましたね)
エ:「真夏の炎天下で」⇒×

ということで、アを選ぶことになります。

今回の解説は以上です。
あなたの自校作成入試対策にお役立てください。

2023年度都立八王子東高校の国語のその他の大問の解説記事はこちらでございます。

都立八王子東高校に合格するなら自校作成専門対策塾 誠学会

都立八王子東高校は英語、数学、国語が自校作成問題となっております。西東京の都立自校作成校では、国立高校に次ぐ難易度の学校です。内申点もオール5の生徒がほとんどを占めております。具体的な対策が知りたい方は、ぜひ誠学会にお問い合わせくださいませ。

都立自校作成校受験対策専門塾・誠学会では、
毎月10名限定で無料受験相談を受け付けています。