墨田川高校
墨田川高校
大問1
大問1は漢字が10題出題されます。
特徴は以下の通りです。
【前半5問】
- 読みの問題
- 中学校で習う漢字が含まれる。
- 小学校で習う漢字が単独で出題されることもある。
- 熟語だけでなく送り仮名を伴う訓読みの読み方(羨む、憩い、画すなど)が出題される
【後半5問】
- 後半5問が書きの問題
- 小学校で習う漢字からの出題がほとんど(ほぼ例外なし)
- 以前は四字熟語が必ず出題されていたが、2023年度入試では出題がなかった
以上が特徴です。
小学校・中学校で習った漢字それぞれについて、音読み・訓読みの読み方や用法を確認しておくのが一番確実な勉強法となります。
大問2
大問2では物語文またはエッセイが出題されます。
1:本文
直近の各年度ではこのような主題が扱われました。
2023年度:亡き父を偲ぶ
2022年度:友人とのわだかまり解消
2021年度:1つのことに没頭する
2021年度・2022年度は受験生と同世代の主人公が主役のある種成長物語でしたが、2023年度は小説家が書いたエッセイが出題されました。
エッセイは慣れていないと読みにくいので、この問題を使って練習しておきましょう。
2023年度の問題は墨田川高校を志望する中3生のみならず、全ての自校作成校受験生が解くべき問題だと考えます。
2:設問
2021年度〜2023年度の3年間における出題をランキング形式にして分類しました。
1位:人物(主人公以外の人物がほとんど)の様子⇒5問出題
2位:人物(主人公がほとんど)の気持ち⇒4問出題
3位:人物(主人公・それ以外が半々)の行動の理由⇒4問出題
4位:本文の表現⇒3問出題
5位:語句の意味⇒2問出題
6位:人物像の説明⇒1問出題
6位:内容説明の記述問題(「~はどういうことか」)⇒1問出題
です。
5位〜7位の形式は2021年度にしか見られませんでした。
したがって、2022年度・2023年度は1位〜4位の出題形式の問題のみで占められていたことになります。
これらの形式は要注意ですね。
人物の様子や気持ち、行動の理由についてあなたが抱いた印象やフィーリングで判断するのではなく、本文中の描写(セリフ・行動・風景描写等々)から根拠を拾って論理的に解くことが必要です。
大問3
大問3では説明文が出題されます。
1:本文
直近の各年度では以下のようなテーマが扱われました。
2023年度:経験の言語化
2022年度:科学における「部分と全体」⇒生態学という学問の特異性
2021年度:科学者と一般市民のコミュニケーション
2020年度:人工知能・自然知能・天然知能⇒天然知能の創造力
2019年度:科学的な論証の進め方、情報収集力の重要性
2018年度:チームにおける暗黙知共有のための「型」の必要性と重要性
「科学」に関する出題が多いですね。
また、「コミュニケーション」に関する出題が多いのも目立ちます。
つまり「科学」「コミュニケーション」の双方を主題とした2021年度は墨田川高校説明文の近年の集大成と呼べるのではないでしょうか。
問題集や他校の過去問の内、これらをテーマにした文章を優先して解いておくと良さそうです。
2:設問
2021年度〜2023年度の3年間における出題をランキング形式にして分類しました。
1位:内容説明(「~はどういうことか」)⇒6問出題
2位:キーワードとそれに適した具体例合致させる問題⇒4問出題
3位:文章の展開⇒3問出題
4位:200字作文⇒2問出題
5位:筆者がそう述べる理由⇒2問出題
6位:筆者の主張の内容(どう述べているか)⇒1問出題
7位:内容説明の記述問題(「~はどういうことか」)⇒1問出題
特徴とそこから考えられることは以下の通りです。
- 内容説明に関する問題が多い⇒指示語や接続語を具体化しながら精読することが大切
- 主張とそれに合致する具体例の対応を訊く問題が多い⇒抽象と具体について意識しながら読むことが大切
- 文章の展開についての問題が毎年出題される(2021年度は「文章の内容と構成」)⇒段落の役割を意識することが大切⇒主な接続詞の役割や代表的な論理展開は覚えておく必要がある
- 200字作文が出題される(2021年度はなし)⇒それぞれテーマは「言葉のはたらき」(2023年度)、「科学にどう向き合うか」(2022年度)となっていた。
やはり、「科学」と「コミュニケーション」がテーマの二本柱と考えて良さそう。
- 作文が出題される関係で、2022年度・2023年度はそれ以外の記述問題はなし
以上です。
大問4
大問4では、古文や漢文等を題材にした鑑賞文が出題されます。
鑑賞文とは、ある作品の良さを語った文章です。
1:本文
直近の各年度ではこのような作品が扱われました。
2023年度:冬の和歌・俳句
2022年度:歌謡集『梁塵秘抄』
2021年度:「花」に関する文章(『源氏物語』への言及と引用あり)
まず、特筆すべきは2021年度の「花」に関する文章です。
「花」とは、滝廉太郎が作曲した歌です。
歌詞に「隅田川」が登場します。
漢字こそ異なりますが、墨田川高校ならではの問題だなと思います。
「花」は古文でも漢文でもありませんが、この文章中には『源氏物語』が引用されており例年と異なる内容にはしないよう留意されているようです。
また、「歌」に関する出題が多いです。
和歌・俳句に関する教科書レベルの知識は必須ではありませんが、身に付けておくとスムーズに本文が読めるのではないでしょうか。
鑑賞文の読解は市販の問題集にはあまり収録されておりません。
したがって、進学研究会のホームページで販売されているVもぎの過去問や他の自校作成校の過去問を使って演習することになります。
その際の問題を選ぶ基準として、まずは「歌」に関する問題をチョイスすると良いかと思います。
2:設問
2021年度〜2023年度の3年間における出題をランキング形式にして分類しました。
1位:語句の意味・用法・文法⇒7問出題
2位:内容説明(「~はどういうことか」)⇒5問出題
3位:鑑賞文で言及している箇所に該当する古文の箇所を探す⇒2問出題
4位:掛詞が表すもの⇒2問出題
5位:何を詠んでいる和歌か⇒1問出題
6位:作品に現れている作者の気持ち⇒1問出題
7位:筆者の主張・考え⇒1問出題
8位:筆者が問題提起をしている箇所を抜き出す問題⇒1問出題
9位:筆者が引用した目的⇒1問出題
10位:七五調になっているものを選ぶ⇒1問出題
まず、特徴的なのは語句の意味や文法に関する問題が目立つことです。
語彙力をつけておくことや教科書レベルの文法問題(助詞の用法など)をマスターしておくことが対策として考えられます。
また、掛詞や七五調といった和歌・俳句に関する知識の出題も目立ちます。
読解の出題に関しては、他校より抜き出し問題の出題頻度が低い点が特徴です。内容説明が出題の中心であることから、大問3の説明文と同じアプローチで読み解いていけば大丈夫であると考えてください。
「1:本文」のところでも言及しましたが、設問形式をみても他校の「和歌・俳句」など「歌」に関する鑑賞文の問題を多くやっておくと良さそうですね。
大問1
大問1はリスニング問題です。
リスニング問題は自校作成問題ではなく、共通問題となりますのでこちらをご覧ください。
大問2
大問2は会話文の読解です。
1:本文
直近3年の会話文のテーマは以下の通りです。
2023年度:タブレット端末の使い方
2022年度:部活動のトーナメントについて
2021年度:町の井戸について
会話文のテーマは身近なものですね。
前提知識がないと読めない、内容が難しくて内容が頭に入ってこないといったことは無さそうです。
また、単語については毎回10個以上注釈がついているので教科書レベルの単語をしっかり覚えておけば単語の意味が分からずに詰むということは無いようになっています。
しかしながら、注釈をいちいち参照していると時間がかかりますし読解のテンポが悪くなって内容が頭に入りづらくなるかもしれません。したがって、なるべく注釈に頼らずにすむよう、「教科書レベルの単語」だけでなく「高校入試レベルの単語」についても覚えておくことをお勧めします。
2:設問
直近3年間の設問を、出題が多いものから順に紹介します。
1位:指示語を具体化する問題
2位:会話文中の空欄に入る、本文の流れに合う発言を選ぶ
3位:単語・語句を並び替えて正しい英文をつくる(いわゆる整序問題)
4位:会話文の内容に関する問題にたいする答えを、会話文中から抜き出して答える
5位:内容一致問題(本文の内容に合う選択肢を選ぶ)
6位:特定の発言における発言者の気持ちを答える
となります。
指示語を具体化させる問題の出題が目立ちましたので、英文読解の際は指示語を具体化すること(その指示語が指し示している内容を特定すること)を意識してください。
また、整序問題に関しては練習に適した問題集があまり見当たりません。なぜならば、日本語訳が与えられていない+難易度がちょうど良いの2つの条件を満たした問題を多く掲載している問題集がなかなかないからです。
対策としては、
- 熟語や構文を覚える
- 墨田川高校の過去問を利用する
- 他の自校作成校の過去問を利用する
といったものがお勧めです。
大問3
大問3は説明文の読解です。
1:本文
直近3年の文章のテーマは以下の通りです。
2023年度:ネアンデルタール人とホモ・サピエンス
2022年度:未解決の数学問題に挑んできた人類の歴史
2021年度:時間を管理する方法
テーマ自体がなかなか難しそうですね。
こういったテーマに関する英語長文が読めるかどうか心配な人は、過去問集に載っている日本語訳を読んでから英文を読むという順番で学習するという手もあります。
また、説明文の読解を練習しようと思っても共通問題にはそういった問題はありません。
対処法は
- 他の自校作成校の過去問を解く
- 英語長文の演習問題集を購入して解く
の2つがあります。
墨田川高校に限らず、都立自校作成校の英語長文には「英文自体はあまり難しくない」「長い」の2つの特徴があります。この2つの特徴を満たす英語長文を題材にして練習できるようにしてください。
2:設問
直近3年間の設問を見てみましたが、構成がほぼ同じでした。
- 指示語の具体化
- 単語・語句を並び替えて正しい英文をつくる(いわゆる整序問題)
- 文章中の空欄に、文章の流れに合う1文を入れる
- ある1文の内容を他の語句を使って言い換える
- 時系列を整理する
- 内容一致問題(本文の内容に合う選択肢を選ぶ)
2021年度のみ、時系列を整理する問題がなく代わりに空所補充の問題が出題されていました。
特徴的なのは時系列を整理する問題です。
英文を読み始める前に、あらかじめ時系列を整理する問題が出題されることが分かっていればそこに気を付けて読むことになります。一度読んでから再度時系列を整理するために長文を読み直すという手間が省けます。是非意識しておいてください。
大問4
大問4は物語文の読解です。
1:本文
過去3年はこのような内容でした。
2023年度:ハンナのイギリス留学
2022年度:ユキの美術への取り組み(美術部への入部、美術館見学など)
2021年度:タカシの帰省
説明文とは異なり、内容面でのハードルは低そうですね。
主人公が「いつ」「どこで」「誰と」「何をした」のかを正確に読み取ることが求められそうです。
物語文の読解については、墨田川高校の過去問に苦戦する場合に共通問題の大問4で練習することができます。
たくさん練習して読むスピードと正確性に磨きをかけてください。
2:設問
直近3年間の設問を分析した結果、以下の通りとなりました。
● 大問2・大問3でも見られた設問
- 空欄に合う英文や単語を入れる
- 単語・語句を並び替えて正しい英文をつくる(いわゆる整序問題)
- 英文の内容を他の語句や英文で言い換えて書き表す
● 大問4独自の設問
- 主人公の行動の理由
- ことわざの意味(Time flew.(光陰矢の如し))
- 英作文
独自の設問のうち、特筆すべきはやはり英作文ですね。
墨田川高校の英作文は
- メールの空欄に、流れに合う英文を書く⇒書くべき内容に制約が多い
- 語数は12~18語⇒書くべき内容を、1~2文で端的に書き表す必要がある
という特徴と心構えが必要です。
英作文は解答と異なる内容でも正解になることがあります。
また、単語・文法のミスをチェックする必要があります。
書いた英作文は誰かに採点・添削をしてもらうと良いでしょう。
数学の自校作成問題について
墨田川高校の数学入試は自校作成問題で実施されます。
出題される内容には一定のクセ・傾向がありますのでそれを把握しておくことは非常に重要です。
1:大問1の出題内容と対策
問1
入試年度 | 出題内容 |
2023年度 | 二次式の値を求める問題 |
2022年度 | 二次式の値を求める問題 |
2021年度 | 二次式の値を求める問題 |
3年連続で出題内容に共通点があることが分かりますね。
加えて、解く際の注意点も3年連続で共通しています。
それは、
xやyの値を代入する前に与えられた二次式を因数分解する
ということです。
これをやるかやらないかで
- 問1の解きやすさ
- 問1を解くのにかかる時間
が大きく変わりますので、墨田川高校の数学自校作成問題大問1問1を解くときは必ず実行してください。
問2
入試年度 | 出題内容 |
2023年度 | 連立方程式 |
2022年度 | 連立方程式 |
2021年度 | 連立方程式 |
3年連続で連立方程式が出題されています。
加減法で解くオーソドックスな連立方程式の出題が続いています。
念のため、代入法で解いた方が速い問題も含めて連立方程式の計算練習をしておきましょう。
問3
入試年度 | 出題内容 |
2023年度 | 二次方程式 |
2022年度 | 二次方程式 |
2021年度 | 二次方程式 |
3年連続で二次方程式が出題されています。
二次方程式は、時間さえかければ解の公式を使って解くことができます。
したがって、どうすればより短時間で解けるかということを意識する必要があります。
過去3年のポイントは
- 平方根の考え方を使う(2021年度)
- おきかえを使う(2022年度、2023年度)
でした。
この2つを使う二次方程式の問題は要注意です。
他に、平方完成を使う問題の出題可能性もあります。
しかし、これは解の公式を使うのとあまり所要時間に差がでないため可能性が低いと個人的には考えています。
問4
入試年度 | 出題内容 |
2023年度 | 文字式の利用・等式の変形(平均値の表現) |
2022年度 | 文字式の利用・等式の変形(食塩水の濃度の表現) |
2021年度 | 文字式の利用・等式の変形(図形の規則性の表現) |
「文字式の利用・等式の変形」という点は3年連続で共通していますが、年ごとに題材がバラバラなので対策に時間をかけたほうが良い問題となっています。
上記の題材のほかに、
- 商と余り
- 距離・速さ・時間
- 割合
- 図形の長さ・面積・体積
- 連続する3つの整数
- ある整数の百の位や十の位の数をいれかえた数
- 平方数
- 最大公約数や最小公倍数
といった題材の出題も予想されます。
過去問だけでなく、これらの題材を使った問題を練習しておきましょう。
問5
入試年度 | 出題内容 |
2023年度 | 図形の角度を求める問題 |
2022年度 | サイコロの確率 |
2021年度 | サイコロの確率 |
2020年度以前も含め、問5では確率の問題が続いていました。
ですので、基本的に問5は確率の問題が出題されると考えて問題ないと思います。
2021年度・2022年度のサイコロに加え、
- 袋に入れた玉
- カードを並べる
- じゃんけん
- くじ
- 図形上を移動する点
を題材にした問題は要注意です。
しかしながら、2023年度は確率の問題ではありませんでした。
図形の角度を求める問題が出題され、しかも複雑な問題でした。
①円の半径の長さが等しいことに注目し、二等辺三角形を発見する
②底角の大きさを文字でおき、他の内角の大きさをその文字で表す
③②の手順をもう一度行う
④内角と外角の関係を用いて求める角の大きさを②③の結果を使って表す
といった手順が必要な問題でした。
過去問演習をする立場からすると「良い問題だな」と言えるものの、試験会場で突然出会った場合には厄介な問題だと言えます。
確率以外にこうした図形の問題が出題される可能性があることを念頭に置いて準備をしておきましょう。
問6
入試年度 | 出題内容 |
2023年度 | 作図の問題 |
2022年度 | 作図の問題 |
2021年度 | 作図の問題 |
3年連続で作図の問題が出題されています。
- 垂線を引く
- 垂直二等分線を引く
- 角の二等分線を引く
これらが出来れば基本的には大丈夫です。
しかしながら、その際に
- 直角二等辺三角形の性質を利用する
- 円の性質(円周角の定理)を利用する
- ひし形の性質を利用する
など、図形の性質を利用することが求められます。
図形の作図は、共通問題や他の都立自校作成校の自校作成問題でも毎年必ず出題されています。また、Vもぎなどの模試でも必ず出題されています。
したがって、
- 各種入試過去問での演習
- Vもぎ過去問(実は進学研究会のHPで販売されています)
などで演習することをお勧めします。
2:大問2の出題内容と対策
大問2では、関数とグラフの問題が出題されます。
2021年度は反比例のグラフが、2022年度・2023年度は二次関数のグラフが出題されています。
反比例のグラフだからといって特別な対応が必要なわけではありませんので、二次関数のグラフ問題を練習しておけば良いと思われます。
問1
入試年度 | 出題内容 | 正解のためのポイント |
2023年度 | 条件を満たす点の座標を求める | 放物線は線対称な図形である |
2022年度 | 二次関数の比例定数を求める | 二次関数のyの変域の特徴 |
2021年度 | 条件を満たす点の座標を求める | 分子が分数になる場合の処理 |
問1は1つのヒントを活用して点の座標や二次関数の比例定数を求める問題が多いです。
条件の見落としや計算ミスに気を付けて、確実に正解できるように墨田川高校や国分寺高校、場合によってはその他の自校作成問題を題材にして何度も練習しましょう。
問2
入試年度 | 出題内容 | 正解のためのポイント |
2023年度 | 条件を満たす点の座標を求める | 二次関数上の点の座標の性質特別な直角三角形の辺の比 |
2022年度 | 条件を満たす点の座標を求める | 原点に関して対称(原点対称)な点の性質直線上の点の座標の性質 |
2021年度 | 二次関数の比例定数を求める | 交点の座標の性質 |
出題内容や正解のためのポイントはバラバラに見えますが、共通点があります。
それは、
二次方程式をたて、それを計算して正解に至る
という点です。
左辺、右辺それぞれを文字や数値を使って表現する必要がありますので、問1より駆使するヒントが多くなります。
それに気を付けて演習を繰り返してください。
問3(1)
入試年度 | 出題内容 | 正解のためのポイント |
2023年度 | 直線の式を求める | 放物線上の点の座標の性質2点を通る直線の式を求める方法 |
2022年度 | 四角形の面積を求める | 平行四辺形の性質直線上の点の座標の性質 |
2021年度 | 直線の傾きを求める | 曲線上の点の座標の性質 |
問3(1)は問2とほぼ難易度が変わりません。
それは、問2と問3(1)の正解のためのポイントを見比べていただければ分かるかと思います。ラインナップに共通点が目立ちますね。
特徴的なのは、2022年度において平行四辺形の性質を利用していることです。
大問1問6でも図形の性質を利用しましたが、ここでも利用する可能性があります。
平行四辺形、ひし形、長方形、正方形、二等辺三角形、正三角形、円といった図形の性質は覚えておく必要がありそうです。
問3(2)
入試年度 | 出題内容 | 正解のためのポイント |
2023年度 | 点のx座標を求める | 等積変形座標平面上での相似の利用 |
2022年度 | 点の座標を求める | 等積変形三角形の底辺と高さは垂直平行な2直線の傾きは等しい |
2021年度 | 三角形の面積を求める | 等積変形三角形の底辺と高さは垂直 |
問3(2)には3つの特筆すべき性質があります。
①記述問題であること
②これまでの問題よりやや解答に至る手順が複雑であること
③等積変形を利用する問題の出題が目立つこと
この3点です。
①記述問題であること
「答えだけでなく、答えを求める過程が分かるように、途中の式や計算なども書け。」という指示が問題文中にあります。これには、「答えだけ合っていても過程がちゃんとしていないと点数がもらえない」というデメリットと「答えが間違っていたとしても過程の一部が合っていたら部分点がもらえる」というメリットがあります。記述式であることをメリットに感じられるよう、答えを求める際の考え方やヒントとして用いる情報はすべて解答欄に記入しましょう。なお、「どう練習していいか分からない」という人には、学校が公開している記述問題の解答例を書き写す訓練がお勧めです。減点されない過程の書き方を吸収することができます。
②これまでの問題よりやや解答に至る手順が複雑であること
この問題はこれまでの問題よりやや難易度が高いです。したがって、合格するために「絶対に正解しなければならない問題」ではないことが多いです。試験本番においては「難しい問題に時間をとられ過ぎてしまい、簡単な問題を解く時間がなくなってしまった」という事態はもっと避けなければいけないものです。そうならないよう、この問題に時間をかけ過ぎないよう気を付けてください。
③等積変形を利用する問題の出題が目立つこと
過去3年、この設問では毎年等積変形を利用しています。これは非常に有益な情報です。解いているときに先に進む方法が分からなくなったら、とりあえず「等積変形を行うのではないか?」と考えるようにしてください。また、手持ちの問題集で等積変形を利用する関数の問題を繰り返し演習しておきましょう。
3:大問3の出題内容と対策
大問3では、平面図形の問題が出題されます。
2021年度は円と二等辺三角形が、2022年度は正六角形が、2023年度は長方形とおうぎ形が出題されています。平面図形に関する様々なルール・公式を駆使して正答を導きます。これらのルール・公式のなかには小学校で学んだものも含まれますので、必要に応じて小学校算数の復習や確認を行うようにしましょう。
問1
入試年度 | 出題内容 | 正解のためのポイント |
2023年度 | 条件を満たす正方形の1辺の長さ | 正方形の性質平方根の計算 |
2022年度 | 正六角形内の線分の長さ | 正三角形の性質特別な直角三角形の辺の比三平方の定理 |
2021年度 | ①角度の大きさ②合同の証明 | ①円周角の定理 二等辺三角形の性質 三角形の内角の和②二等辺三角形の性質 円周角の定理 |
出題内容はバラバラですが、正解のためのポイントとして特定の図形の性質を利用することが多いです。
図形の性質を利用することが多い問題は多いです。大問1問6、大問2問3もそうでしたね。きちんと覚えておき、問題を解く際に活用できるようにしておきましょう。
2021年度はこのタイミングで証明問題が出題されています。
2022年度・2023年度は別のタイミングですので、証明問題については後述します。
問2
入試年度 | 出題内容 | 正解のためのポイント |
2023年度 | 図形の面積 | おうぎ形の面積 |
2022年度 | 図形の面積 | 三角形の底辺と高さは垂直平行線と三角形の面積の関係 |
2021年度 | 辺の長さの比 | 角の二等分線の性質相似な三角形の性質 |
出題内容、正解のためのポイントともにバラバラですね。
おうぎ形の面積や角の二等分線の性質といった、使用頻度があまり高くない性質や公式を利用する問題の出題を心がけている印象です。
中学数学範囲で学んだ図形の性質のすべてを覚えておき、正しく使えるようにしておく必要がありそうです。
問3
入試年度 | 出題内容 | 正解のためのポイント |
2023年度 | ①相似の証明②三角形の面積 | ①直線の角度は180度 ポイントとなる角の大きさを文字 でおいて考える 長方形の性質②三平方の定理 相似な図形の性質 |
2022年度 | 相似の証明角度の大きさを文字で表す | ①辺の長さを利用する 正〇角形の性質②正六角形の内角の大きさ 相似な図形の性質 |
2021年度 | 弧の長さを求める | 対頂角は等しい二等辺三角形の性質直径に対する円周角の性質円周角の定理三角形の内角と外角の関係中心角と円周角の関係 |
図形の合同・相似を証明する問題が必ず出題されます。(2021年度は問1での出題でした。)これは記述問題となりますので、大問2でお伝えしたのと同様に減点のない記述ができるよう練習しておきましょう。
相似の証明の後に続く問題は、証明した相似の関係を利用して解くことが多いです。それを強く意識できていると問題の難易度がぐっと下がりますので必ず意識するようにしてください。
4:大問4の出題内容と対策
大問4では、空間図形の問題が出題されます。
2021年度は立方体が、2022年度は三角柱が、2023年度は直方体が出題されています。
空間図形の問題は、空間で考えず平面を取り出して考えると正答率が向上します。また、苦手とする受験生が多い分野ですので無理に満点を狙う必要はありません。ここに時間をかけ過ぎないよう、注意が必要です。一方、苦手とする受験生が多い分野であるということは正答すれば他の受験生と点差をつけるチャンスであるということを意味します。数学が得意な人は、この分野の墨田川高校の過去問や他の自校作成校の過去問やVもぎの過去問などをたくさん演習して他の受験生に差をつけてしまいましょう。
問1
入試年度 | 出題内容 | 正解のためのポイント |
2023年度 | 三角形の面積 | 平面どうしがなす角から線分どうしがなす角の大きさを考える三平方の定理 |
2022年度 | 動く点Pが条件を満たす秒数 | 直径に対する円周角の性質円の性質 |
2021年度 | 球の表面積 | 球の表面積を求める公式 |
出題内容・正解のためのポイントともにバラバラですね。
2021年度は中1範囲の公式を暗記しているかどうかを問うてきました。これは今後も要注意です。球の表面積や体積の公式は正確に覚えておきましょう。
2022年度・2023年度は平面図形の問題として考える設問でしたね。これは非常に重要な考え方ですので、演習を繰り返して慣れておきましょう。
問2
入試年度 | 出題内容 | 正解のためのポイント |
2023年度 | 線分の長さ | 高さが等しい立体の体積比は底面積の比に等しい相似な図形の面積比 |
2022年度 | 線分の長さの比 | 長さの合計が最小になるのは一直線上のとき三平方の定理平行線と線分の比 |
2021年度 | 線分の長さ | 立体上に平面を書き込んで交点を導出する中点連結定理 |
出題内容は毎年ほぼ同じですが、正解のためのポイントが年によってバラバラになっています。どれも空間図形の問題では頻出のポイントになっていますので良問であるといえます。
問3
入試年度 | 出題内容 | 正解のためのポイント |
2023年度 | 線分の長さ | 三平方の定理 |
2022年度 | 線分の長さ | 三平方の定理 |
2021年度 | 立体の体積 | 相似な図形の性質 |
相似な図形の性質は2023年度は問2で使い、2021年度は問3で使いました。
使う場面が非常に多いので、大問4を解いているときに行き詰った場合は相似な2つの三角形を探すのが有効かもしれません。
また、2022年度と2023年度は解法がほぼ同じ問題が連続して出題されました。このパターンは必ず習得しておいてください。
問4(2023年度は問3(2))
入試年度 | 出題内容 | 正解のためのポイント |
2023年度 | 線分の長さ | 体積から逆算して求める全体から該当しない箇所を引く |
2022年度 | 立体の体積 | 平行線と線分の比立体の等積変形三平方の定理 |
2021年度 | 線分の長さ | 直線の角度は180度相似な図形の性質 |
2021年度は、問3に続き相似な図形の性質を活用しました。また、2021年度問4の前半の解法は2023年度大問3問3にて再度登場しています。この2問を比べてみると非常に面白いので、是非比べながら解いてみてください。
問4は正解のためのポイントが年によってバラバラですね。前述のとおり、空間図形は苦手とする受験生が非常に多いです。試験中はもちろん、普段の受験勉強においてもあまり深追いはせず、数学の他の大問や数学以外の4教科で得点になりやすい分野を優先した方が良い場面が多いです。
墨田川高校の自校作成校数学についての紹介は以上です。
理科社会は自校作成問題ではなく、都立高校共通問題が出題されますのでコチラをご覧くださいませ。
理科社会は自校作成問題ではなく、都立高校共通問題が出題されますのでコチラをご覧くださいませ。
墨田川高校の小論文は毎年2問出題されます。
それぞれ資料が与えられ、それを基に小論文を書くことになります。
1:与えられる資料
どのような資料が与えられるかというと、
- 4コママンガ(2023年度のみ)
- 文章
- 新聞記事
- グラフ
といったものです。
他の学校とは異なり、表やグラフの読み取りが出題されていない年が目立ちます。
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墨田川高校小論文のテーマは以下のようになります。
2023年度
- 勉強する意味
- 本当の「頭の良さ」について
2022年度
- 間違いに気づいたらどうするか
- 「解」「正解」とはなにか
- 自分の意見を出す際に意識すること
2021年度
- 「知識教育」と「思考力を育成するための教 育」
- 「正解」と「自分なりの答え」
- 高校生活における学びをどうしたいか
2020年度
- バリアフリーが推奨される理由
- 障害者の手助けをしたいという人を増やす方法
- 「共生社会」の実現のための施策
2019年度
- 「教える」「学ぶ」とはどういうことか
- 学ぶことの意義
- コミュニケーション、触れ合いの意義・価値
2022年度の「自分の意見を出す際に意識すること」という出題については、集団討論が実施できなかった影響を感じます。本来なら集団討論を行って自分の意見を上手に(他者との過剰なコンフリクトを避けつつ自分の意見が相手に受け入れられるように)主張できているかどうかを判断します。それができない年が続いたので、こういった出題になったのでははないかと考えます。
2020年度以外は、「勉強する」「学ぶ」ことの意義を問うているようです。
単に知識をつけるだけでなく、それを活用して自分なりの問いを立てて思考を続けてほしい、その重要性を認識しておいてほしいというメッセージを感じます。
このメッセージは、墨田川高校の国語の自校作成問題の大問3(説明文)の文のチョイスからも感じます。
小論文の文章構成や文章を書く際に注意してほしいことを以下の記事にまとめておきましたので、是非こちらもご覧ください。
面接に関しては各高校特に変わりはないのでこちらをご覧くださいませ。
一部の都立高校において推薦入試で集団討論が復活することとなりましたが、墨田川高校では2024年度も2023年度に続いて集団討論は行われないこととなりました。
2025年度がどうなるのかはこの文章を書いている時点では未定です。動向に注意してください。
念のため集団討論にも言及しておきます。
集団討論とは、
- 5~6人で
- 30分ほどかけて
- 特定のテーマについて
討論してそのグループの中での「結論」を出すことを指します。
司会者・リーダーとなるかどうかで30分間の過ごし方が変わってきます。
司会者・リーダーは自分の意見を主張することよりも全体の議論を盛り上げることのほうが重要な役割となります。
自分がリーダーに向いているかどうかは、あらかじめ考えておいてください。
また、試験官の先生が司会者・リーダーを務める場合やあえて司会者・リーダーは置かないよう指示される場合もあるので注意してください。
墨田川高校では、どのようなテーマで討論することが求められるのでしょうか。
以下に過去の討論テーマをまとめました。
R2 | 高校生活を送る際に「オンリーワン」の主張 は必要ですか。 |
H31 | あなたが墨田川高校の生徒だったとします。今、部活動で頑張っている友人が、”学業との両立”に悩んで相談してきたとしたら、何と言ってアドバイスするのがよいと思いますか。 |
H30 | 高校の三年間で取り組むべき課題として、次に挙げるア~エの中ではどの項目が最も重要と考えますか。また、その理由も考えてください。ア 友人や仲間などをつくり、成熟した人間関係を学ぶこと。イ 自分の考えをもち、両親や他の大人から精神的に独立すること。ウ 経済的独立について、自信をもつこと。エ 社会人としての常識や、責任ある態度を身に付けること。 |
H29 | 大人となるのに必要なこと |
H28 | 「隅田川と都民の生活」(隅田川が都民の生 活を豊かにするためにできることを討論す る。) |
H27 | グラフ「日本人海外旅行者数の推移・訪日外国人旅行者数の推移」「2013年 国籍別訪日外国人旅行者数」を読み取り、今後の日本の国際化について討論する。 |
H26 | 日本のエネルギー問題について(日本の電源別年間発電電力量の経年変化グラフを参照) |
H25 | 本校に入学後、①学習②部活動③学校行事のうち、どの項目に最も力を入れて取り組 みますか。 |
出典:https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/admission/high_school/ability_test/theme/
H26・H27は時事的なテーマが続き、H28はご当地問題が出題されました。
それ以外の年は高校生活に関する問題となっています。
もし墨田川高校でも集団討論が復活するとしたら、高校生活に関するテーマになるのだろうと予想します。
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